政治の究極目標は「将来の世代を含めた一人ひとりの生命などを守ること」であると考えています。そしてその目的を達成するためには「ミクロ」「マクロ」、「過去」「未来」、「メリット(プラス)」「デメリット(マイナス)」などという複数の視点によって目の前の深刻な問題を相対化することが必要だと考えています。
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前回(2008/6/22)から4カ月以上が経過している。あれから実に様々な大きな出来事があった。もちろんこれまであえて「沈黙」を守ってきたことには意味がある。
福田康夫首相が内閣改造(2008/8/1)後、わずか1カ月で突然辞任の意向を表明した(9/1)。内閣総理大臣の「投げ出し」劇は2年連続、自民党総裁選は3年連続である。もはや何も言うことはない。
自民党総裁選(9/10告示、9/22投開票)で選出された麻生太郎新総裁が第170臨時国会で新首相に指名されて麻生内閣が発足した(9/24)。そして永田町周辺では解散・総選挙に向けた動きが一気に加速した。しかし、総裁選の期間中から急速に大問題として浮上してきた米国発の世界金融危機などのために「解散風」は現時点(2008/11/11)ではひとまず沈静化しつつあるようである。このまま「解散風」が沈静化していくのならばあえて長文を書く意味が出てくるのではないかと筆者は考え始めている。よって今回のところはとりあえず「予告編の予告編」ということになる。なぜ「予告編の予告編」なのかということなどについては、そう遠くない将来に説明することができる機会があるだろうと現時点では考えている。
ここでこれまでの日本の政治関連の動きについて簡単に振り返っておくことにする。
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北海道洞爺湖サミット(2008/7/7-9)が行われた。福田康夫首相が内閣を改造(8/1)、福田改造内閣が正式に発足した(8/2)。
<福田康夫改造内閣> ▽増田寛也総務相・地方分権改革・地方再生担当・道州制担当相(民間、前岩手県知事、留任)、▽保岡興治法相(山崎派、自民)、▽高村正彦外相(高村派、自民、留任)、▽伊吹文明財務相(伊吹派、自民、前幹事長)、▽鈴木恒夫文部科学相(麻生派、自民、初入閣)、▽舛添要一厚生労働相(無派閥、参院議員、自民、留任)、▽太田誠一農水相(古賀派、自民)、▽二階俊博経済産業相(二階派、自民、前総務会長)、▽谷垣禎一国土交通相・観光立国担当・海洋政策担当相(古賀派、自民、前政調会長)、▽斉藤鉄夫環境相(公明党、初入閣)、▽林芳正防衛相(古賀派、参院議員、自民、初入閣)、▽町村信孝内閣官房長官(町村派、自民、留任)、▽林幹雄国家公安委員長・沖縄北方・防災担当相(山崎派、自民、初入閣)、▽茂木敏充金融・行政改革・公務員制度改革担当相(津島派、自民)、▽与謝野馨経済財政・規制改革担当相(無派閥、自民)、▽野田聖子科学技術政策・食品安全・消費者行政推進・宇宙開発担当相(無派閥、自民)、▽中山恭子少子化・男女共同参画・拉致問題・公文書管理担当相(町村派、参院議員、自民、初入閣)。そして官房副長官は政務(衆院)は塩谷立代議士(町村派、留任)、政務(参院)は岩城光英参院議員(町村派、留任)を再任、事務は二橋正弘前官房副長官も留任)。
そして福田首相は北京五輪(8/8-24)の開会式(8/8)に出席した。しかし、福田首相は緊急記者会見で突然辞任の意向を表明した(9/1)。なお有害物質に汚染された「事故米」が転売されて食用に使用されていた問題を受けて太田誠一農水相が辞任した(9/19。事実上の更迭)。
福田首相の後継を決める自民党総裁選が行われ(9/10告示・9/22投開票。石原伸晃・元政調会長、小池百合子・元防衛相、麻生太郎・幹事長、石破茂・前防衛相、与謝野馨・経済財政相の5氏が立候補)、麻生太郎幹事長が新総裁に選出された(9/22)。第170臨時国会が召集されて福田内閣が総辞職し、首相指名選挙の結果、麻生太郎自民党総裁が新首相に指名されて麻生内閣が発足した(9/24)。ちなみに民主党代表選(9/8告示)では小沢一郎代表が無投票で3選された(9/21の臨時党大会で正式に承認)。
<麻生太郎内閣> ▽鳩山邦夫総務相・地方分権改革担当相(津島派、自民)、▽森英介法相(麻生派、自民、初入閣)、▽中曽根弘文外相(伊吹派、参院議員、自民)、▽中川昭一財務相兼金融担当相(伊吹派、自民)、▽塩谷立文部科学相(町村派、自民、初入閣)、▽舛添要一厚生労働相(無派閥、参院議員、自民、(福田改造内閣から)再任)、▽石破茂農水相(津島派、自民)、▽二階俊博経済産業相(二階派、自民、(福田改造内閣から)再任)、▽中山成彬国土交通相・観光立国担当・海洋政策担当相(町村派、自民)、▽斉藤鉄夫環境相(公明党、(福田改造内閣から)再任)、▽浜田靖一防衛相(無派閥、自民、初入閣)、▽河村建夫内閣官房長官・拉致問題担当(伊吹派、自民)、▽佐藤勉国家公安委員長・沖縄北方・防災担当相(古賀派、自民、初入閣)、▽与謝野馨経済財政担当相(無派閥、自民、(福田改造内閣から)再任)、▽甘利明行政改革・規制改革・公務員制度改革担当相(山崎派、自民)、▽野田聖子科学技術政策・食品安全・消費者行政推進担当相(無派閥、自民、(福田改造内閣から)再任)、▽小渕優子少子化・男女共同参画担当相(津島派、自民、初入閣)。そして官房副長官は政務(衆院)は松本純代議士(麻生派)、政務(参院)は鴻池祥肇参院議員(麻生派)、事務は漆間巌前警察庁長官を起用)。
麻生首相は就任直後に米ニューヨークを訪問して国連総会で演説などを行った(9/25午後に出発、9/26朝(日本時間)に演説、9/27未明に帰国という「0泊3日」の強行日程)。また問題発言を繰り返した中山成彬(なりあき)国土交通相が就任5日目に辞任した(9/28)。そして小泉純一郎元首相が次の総選挙に立候補せずに引退する意向を明らかにした(9/25。9/27に地元・横須賀市で正式に表明)
麻生首相は所信表明演説(2008/9/29)を行い、各党の代表質問(衆院10/1-2、参院10/2-3)が行われた。
2008年度補正予算案が衆院を通過(10/8)して参院でも可決されて成立した(10/16。自民、公明に加え、民主などの賛成多数で。なお2008年4月の暫定税率失効に伴う地方自治体の道路財源の減収を補てんする関連法も成立)。
衆院本会議でインド洋で海上自衛隊が補給支援活動を行うためのテロ対策特措法を1年間延長する法案が可決された(10/21。自民、公明などの賛成多数。民主党の対案は否決)。
日銀副総裁に山口広秀理事を昇格させる人事案が衆参両院の本会議で同意された(10/24。副総裁2人のうち1人が空席という異例の事態は約6カ月ぶりに解消)。
麻生首相はインドのシン首相と首相官邸で会談した(10/22。共同宣言に署名)。
麻生首相はアジア欧州会議(ASEM)首脳会合出席などのために中国・北京を訪問した(10/24-25。10/24に中国の胡錦濤国家主席と温家宝首相、韓国の李明博大統領らと、また10/25にフランスのサルコジ大統領、イタリアのベルルスコーニ首相らとも個別に会談。なお10/25夕に記者会見、同日夜に帰国)。
麻生首相は首相就任後初めて東京・秋葉原で街頭演説を行った(10/26。参考:http://www.jchiba.net/message/061002-1.htm)。
麻生首相は追加の経済対策を発表した(10/30。国費ベースの財政支出約5兆円。事業規模は約27兆円。2兆円規模の給付金方式による「定額減税」(支給対象は全世帯?)、住宅ローン減税の拡大、休日は1000円で乗り放題(?)になるなどの高速道路料金の引き下げ、道路特定財源の一般財源化に際して1兆円を地方に移す、など。そして麻生首相は「(前略)…大胆な行政改革を行った後、経済状況を見た上で、3年後に消費税の引き上げをお願いしたいと考えております」と消費税率引き上げにも言及。参照:http://www.kantei.go.jp/jp/asospeech/2008/10/30kaiken.html))。
航空自衛隊トップの田母神(たもがみ)俊雄・航空幕僚長(60歳)が「我が国が侵略国家だったというのは濡れ衣(ぬれぎぬ)」などと主張する論文を発表していたことが明らかになって更迭された(10/31。防衛省は田母神氏を11/3付で定年退職としたことを発表。航空幕僚長の定年は62歳だが、更迭されて空将の60歳の定年年齢が適用されたため)。
TBS「NEWS23」のキャスターなどを務めたジャーナリストの筑紫哲也氏が死去した(2008/11/7。73歳。肺がんのため)。
ちなみに2008年のノーベル物理学賞を日本人3人が同時受賞することが明らかになった(2008/10/7。南部陽一郎・米シカゴ大名誉教授(87歳、現在は米国籍)、小林誠・高エネルギー加速器研究機構名誉教授(64歳)、益川敏英・京都産業大教授(京都大名誉教授、68歳)。3人の同時受賞は初)。さらに2008年のノーベル化学賞を下村脩・米ボストン大名誉教授(80歳)が受賞することも明らかになった(10/8。米国の2研究者と共に。物理学賞3人同時受賞に続いて2008年は日本人4人目。日本人の受賞者はこれで合計16人に)。
なお1981年の米ロサンゼルスでの一美さん銃撃事件に関与した疑いで米自治領サイパンで逮捕(2008/2/22)されていた三浦和義容疑者(61歳、日本では無罪が確定)が移送されたロサンゼルス市警の留置所内で自殺を図って死亡した(10/10)。
日本と北朝鮮の実務者協議が中国・瀋陽で行われて拉致問題の再調査で合意した(2008/8/11-12。合意は8/13未明。日本人拉致被害者の再調査で北朝鮮側が権限を与えられた調査委員会を設置、可能な限り今年秋までに調査を終了することなどで合意したという)。しかし、北朝鮮が日朝間で合意していた拉致被害者再調査のための委員会設置の先送りを通告してきたことが明らかになった(9/5)。
国連安全保障理事会の非常任理事国10カ国のうち2008年末で任期満了となる5カ国の改選投票が国連総会で行われてアジア枠で日本が選出された(10/17)。
北朝鮮が6カ国協議での合意に基づいて議長国・中国に核計画の申告書を提出し、米国のブッシュ大統領は北朝鮮に対するテロ支援国家指定の解除を議会に通知したと発表した(2008/6/26。早ければ8/11にも指定解除が可能に)。また北朝鮮が寧辺の黒鉛減速炉の冷却塔を爆破した(6/27。米CNNなど5カ国のメディアに公開)。そして中国・北京で6カ国協議の首席代表会合が開かれた(7/10-12。約10カ月ぶり。北朝鮮が申告した核計画の検証方法の3原則(→(1)核施設への立ち入り調査、(2)追加文書の提出、(3)関係者への聞き取り調査)、10月末までに核施設の無能力化とエネルギー支援を完了させることなどを盛り込んだ報道発表文。ただし具体的な検証方法や時期については合意できず)。なお北朝鮮の核問題などをめぐる6カ国協議の非公式外相会合がシンガポールで開かれた(7/23)。
米国は北朝鮮に対するテロ支援国家指定の解除を先送りした(8/11)。北朝鮮は6カ国協議での合意に基づく核施設の無能力化作業を中断したなどという声明を発表した(8/26。米国が北朝鮮に対するテロ支援国指定を解除しないことへの対抗措置と主張。関係国に8/14に通知などと。国際原子力機関(IAEA)は北朝鮮が寧辺の使用済み核燃料再処理施設の封印と監視カメラの撤去を完了したことを9/24に明らかに)。
米国は北朝鮮に対するテロ支援国家指定の解除を発表した(2008/10/11(日本時間10/12未明)。北朝鮮が申告した全施設への立ち入り・検証(施設での試料採取も含む)などで米国と北朝鮮が合意。未申告の施設については相互の合意の下で行うなどと)。
ちなみに北朝鮮の建国60周年の記念行事(2008/9/9)に金正日総書記が姿を見せなかったことをきっかけに健康悪化説などが広がっている。
グルジア軍が同国からの分離独立を目指す南オセチア自治州を大規模攻撃したことを受けてロシアがグルジアを爆撃(2008/8/8)したことをきっかけに両国の軍事衝突に発展した(ロシアのメドベージェフ大統領は南オセチア自治州とアブハジア自治共和国のグルジアからの独立を8/26に承認)。
原子力供給国グループ(NSG、日本を含む45カ国が加盟)の臨時総会は核拡散防止条約(NPT)未加盟のインドを例外扱いとして原子力関連の輸出を解禁することを全会一致で承認した(2008/9/6。合意文書にはインドによる核実験のモラトリアム継続が盛り込まれる)。
米大統領選で民主党のバラク・オバマ上院議員が共和党のジョン・マケイン上院議員を破って勝利した(2008/11/4。初のアフリカ系(黒人)大統領誕生へ。また民主党は同時に行われた上下両院選挙でも躍進して両院での過半数を維持)。
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米大統領選(2008/11/4)で民主党のオバマ上院議員が勝利した米国では「CHANGE」などの前向きで明るいイメージのおかげで多くの難題が一時的にリセットされたような状態になっている。だが、世界金融危機の悪影響はまだ拡大している。そして主要国と新興国の20カ国の首脳が世界金融危機対策を協議する首脳会議が11/15に米国で開かれる予定である。
このまま「解散風」が沈静化していくのかどうかは現時点(2008/11/11)ではまだよく分からない。どんなに遅くとも2009年9月までには必ず行われる次の総選挙では、有権者には政治家たちの言葉や行動をしっかりと見極めた上で正しい判断をしてもらいたいと筆者は心から思っている。筆者としては、次の総選挙が大多数の有権者にとって確実に「良き転機」となるようにするために残された時間を最大限有効に使っていくつもりである。今回の「予告編の予告編」の次が順調に「予告編」になっていくのかどうかも現時点では定かではない。今度もまた非常に長い沈黙になる可能性もある。
最後にあえてひとこと付け加えるならば、内閣総理大臣に限らず、最近の政治家たちは言葉も行動もあまりにも軽すぎる。そして相変わらず日本の政治は深刻な閉塞状況に陥ったままである。
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