政治の究極目標は「将来の世代を含めた一人ひとりの生命などを守ること」であると考えています。そしてその目的を達成するためには「ミクロ」「マクロ」、「過去」「未来」、「メリット(プラス)」「デメリット(マイナス)」などという複数の視点によって目の前の深刻な問題を相対化することが必要だと考えています。
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今年もまた受験シーズンがやってきました。このホームページの読者の平均年齢の低下に対応し、小学生、中学生、高校生などを中心とするできるだけ幅広い人たちに「何のために勉強するのか」ということを改めて考えてもらうための生きた教材として2007年に流行した「インド式計算術」を題材にした「おまけのおまけ」も掲載しておきます。
皆さんは
[1] 「十の位の数字が等しくて一の位の数字の和が10になるときは、上2桁の数字は(十の位の数字)×(十の位の数字+1)を計算すればよく、下2桁の数字は(一方の一の位の数字)×(もう一方の一の位の数字)を計算すればいい。だから72×78=5616、57×53=3021などは一瞬で解けます」、
とか
[2] 「十の位の数字の和が10になって一の位の数字が等しいときは、上2桁の数字は(一方の十の位の数字)×(もう一方の十の位の数字)+(一の位の数字)を計算すればよく、下2桁の数字は(一の位の数字)×(一の位の数字)を計算すればいい。だから29×89=2581、47×67=3149なども一瞬で解けます」、
などといった話を聞いたことがありませんか? 2007年には「インド式計算術」なるものが流行し、書店には何種類もの「インド式」の本などがあふれ、某国営放送の某番組などを含めたいくつかのテレビ番組でも取り上げていましたから、おそらく聞いたことがある人たちの方が多いと思います。中には既に「インド式」を知っていてこれらの方法を実際に使っているという人たちもいることでしょう。でも、「インド式」の「謎」、つまり、なぜそう計算すればいいのかをきちんと理解していますか? そして「インド式」の「謎」を理解している場合でも、もう一歩踏み込んで考えて「日本式」の入試問題などにもきちんと応用できますか?
「インド式」の「謎」は、ほんの少しの基礎知識さえあれば誰でもすぐに理解することができます。
例えば「5616」は、5616=1000×5+100×6+10×1+6、と表すことができます。だから上2桁の数字「56」の部分は1000×5+100×6=100×56(=5600)、下2桁の数字「16」の部分は10×1+6=16です。同じように考えれば「3021」は、3021=1000×3+100×0+10×2+1ですから、上2桁の数字「30」の部分は1000×3+100×0=100×30(=3000)、下2桁の数字「21」の部分は10×2+1=21になります。
一般に、(十進法の)2桁の数「BA」「ba」はそれぞれBA=10×B+A、ba=10×b+a の形で表すことができます。
(ここでA=0,1,2,3,4,5,6,7,8,9、B=1,2,3,4,5,6,7,8,9、a=0,1,2,3,4,5,6,7,8,9、b=1,2,3,4,5,6,7,8,9です)
そして「BA」と「ba」のかけ算はBA×ba=(10×B+A)×(10×b+a)=100×Bb+10×(aB+Ab)+Aa (→(1)式) というやや複雑な式で表せます。
さてここで、[1]の十の位の数字が等しくて一の位の数字の和が10になるときは、B=b、A+a=10のときですから、(1)式は
BA×Ba=(10×B+A)×(10×B+a)=100×B×B+10×B×(A+a)+Aa=100×B(B+1)+Aa という少し簡単な式になり、
上2桁の数字は(十の位の数字)×(十の位の数字+1)を計算すればよく、下2桁の数字は(一方の一の位の数字)×(もう一方の一の位の数字)を計算すればいいということになるわけです(→実際に72×78=5616、57×53=3021などで確認してみてください)。
また[2]の十の位の数字の和が10になって一の位の数字が等しいときは、B+b=10、A=aのときですから、(1)式は
BA×bA=(10×B+A)×(10×b+A)=100×B×b+10×A×(B+b)+A×A=100×(B×b+A)+A×A という少し簡単な式になり、
上2桁の数字は(一方の十の位の数字)×(もう一方の十の位の数字)+(一の位の数字)を計算すればよく、下2桁の数字は(一の位の数字)×(一の位の数字)を計算すればいいということになるわけです(→実際に29×89=2581、47×67=3149などで確認してみてください)。
つまり、この場合の「インド式」の「謎」とは、(十進法の)2桁の数同士のかけ算の答えの一般的な式が簡単になる場合を利用しているということになるわけです。
「インド式」の「謎」を理解している人たちは、もう一歩踏み込んで考えて「日本式」の入試問題などにも応用してみるといいと思います。もちろん様々な形で「日本式」の入試問題などに応用することはできると思いますが、ここでは小学生、中学生、高校生などを中心とする幅広い人たちが計算するときに役立つであろう「ある数の倍数」を見分けるための方法を紹介しておくことにします。
皆さんはおそらく「5の倍数」や「2の倍数」の見分け方は知っていると思います。「一の位の数字が5の倍数ならば5の倍数」、「一の位の数字が2の倍数ならば2の倍数」ということはおそらく知っていると思います。それでは「4の倍数の見分け方」や「3の倍数の見分け方」を知ってるでしょうか? さらにはそれらの方法でなぜ「4の倍数」や「3の倍数」を見分けることができるかをきちんと説明できるでしょうか?
「4の倍数」はある数の下2桁が4の倍数かどうかで見分けます。そしてなぜ見分けられるかという理由は、「インド式」の「謎」を考えたときと同じように考えればすぐに分かります。100=4×25であるということを利用すれば、上2桁の部分は必ず4の倍数になるということが分かります。ですから下2桁が4の倍数かどうかで見分けることができるわけです。
例えば「3176」は、3176=1000×3+100×1+10×7+6=100×31+76=4×25×31+4×19と表すことができますが、
上2桁の部分(3100=)100×31=4×25×31は4の倍数です。そして下2桁の部分の76=4×19が4の倍数なので3176は4の倍数だと分かります。ちなみにもしもある数の下2桁が25の倍数ならば、その数は25の倍数になるということにも注目してください。
「3の倍数」はある数の各位の数字の和が3の倍数かどうかで見分けます。そしてやはりこの場合も基本的には同じように考えていけばいいのですが、1000=999+1、100=99+1、10=9+1などを利用するという少し別の工夫が必要になります。
例えば「4761」は、4761=1000×4+100×7+10×6+1=(999+1)×4+(99+1)×7+(9+1)×6+1=(999×4+99×7+9×6)+4+7+6+1
と表すことができます。前半の( )内の部分は必ず3の倍数になり、またこの場合には「各位の数字の和」を表す後半の下線部分(4+7+6+1=18=3×3×2)が3の倍数になりますから、4761は3の倍数だと分かります。ちなみにこの場合の4761のように、「各位の数字の和」が9の倍数になるのならば、その数は9の倍数になるということにも注目してください。
ちなみに「2の倍数」と「5の倍数」の場合には10=2×5を利用します。もっと詳しく知りたい人は「数式のエッセンス」(高校への数学・2007年8月増刊号、東京出版)p4-5などを参考にしてください。
2の倍数、3の倍数、4の倍数、5の倍数の見分け方などを漠然と部分的に知っているだけでは見えないことがあります。ぜひ一般的な形で整理してから記憶するということの重要性についても考えてみてください。ちなみに大学受験生の皆さんにとっては「あえて本物の入学試験問題の話」(2007/2/20号)の三角関数(sinθ、cosθなどの定義など)の問題(1999年前期・東京大学・数学)も参考になると思います。
以上のようなことを考えれば、「何のために勉強するのか」と問われたときには、「例えば、『インド式』と『日本式』をつなぐものが何かを知るため」と答えることもできるのかもしれません。皆さんは「何のために勉強するのか」と問われたときに何と答えるつもりでしょうか?
以上。
受験生の皆さんの健闘を祈ります。
千葉 潤
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