政治の究極目標は「将来の世代を含めた一人ひとりの生命などを守ること」であると考えています。そしてその目的を達成するためには「ミクロ」「マクロ」、「過去」「未来」、「メリット(プラス)」「デメリット(マイナス)」などという複数の視点によって目の前の深刻な問題を相対化することが必要だと考えています。
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購読料について(2006年版) (2006/11/19更新)
○事実はテレビや新聞よりも奇なり -「小泉新党」から政局が見えてくる- (2005/10/18)
事実はテレビや新聞よりも奇なり(2005/10/18) (2/8) 「ルール」はかなり以前から変わっていた
事実はテレビや新聞よりも奇なり(2005/10/18) (3/8) 「マニフェスト(政権公約)選挙」
事実はテレビや新聞よりも奇なり(2005/10/18) (4/8) 「壁」を破った自民と「壁」が迫ってきた民主
事実はテレビや新聞よりも奇なり(2005/10/18) (5/8) 「あと1年」のために必要なこと
事実はテレビや新聞よりも奇なり(2005/10/18) (6/8) 「小泉新党」から今後の政局が見えてくる
事実はテレビや新聞よりも奇なり(2005/10/18) (7/8) 「こんにちは前原誠司」で良かったのか
事実はテレビや新聞よりも奇なり(2005/10/18) (8/8) 「自動安定化装置」としての「大連立」構想
○この選挙はどのような意味を持つことになるのか(2005/8/26)
○日本は「民主主義立国」になることができるのか(2005/6/27)
○「カルトからの自由」の実現に必要不可欠な挙証責任(2005/2/9)
(参考)前回からの動き(2004/12/25-2005/2/9)
○複数の視点は「連鎖」の理解にも必要不可欠(2004/12/25)
(参考)主な動き(2004/9/21-2004/12/24)
○現実政治の問題解決に必要不可欠な複数の視点(2004/9/21)
○永田町も国際社会も相変わらず「異常なし」(2004/6/22)
○正しい判断のために必要な最低限の能力や知識とは何か(2004/3/23)
○「今という時代の本質」を探し求める共同作業(2004/1/5) (補足(2004/1/12))
○「今という時代の本質」を探し求める共同作業(2004/1/5)
(参考) 2003年後半の海外の動き
▽参考:日本の政治。
あの長くて暑かった夏がはるか遠くに感じられる。やはり「国民に聞いてみたい」と格好良く登場したクールビズ姿の小泉純一郎という政治家が真夏の郵政民営化解散・総選挙の主人公になり、投票率が大幅に上昇(→67.51%(小選挙区、+7.65ポイント)など)して小泉自民党が圧勝した。そして特別国会で再選された小泉首相は郵政民営化関連法の成立(10/14)を受けて「政界の奇跡だね。この奇跡を実現してくれたのが、小泉を支持してくれた国民の皆さんのおかげです」などとコメントした。「国民は与党に2/3以上の議席を与えて解散のない参議院にもノーを突きつけた」などと言えばさすがに「深読み」のし過ぎだが、やはり様々な意味で国民は賢明だったのである。それにしても参院神奈川補選(10/23投・開票)の投票率が非常に心配である。
ちなみに一般参拝客と同じような形での小泉首相の5回目の靖国神社参拝(2005/10/17)については以前(→参考:2005/5/11号etc.)書いたこと以外には現時点ではあえて付け加えることはない。ただこの文章中の「すべての『私事』を後回しにして…」という部分をすべて「過去形」に修正しておいた。
何にしてもまずは総選挙後の動きを簡単に振り返ることにしたい。
総選挙の投・開票が行われ小泉自民党が圧勝した(→9/11投・開票。自民296(公示前212、前回総選挙直後237、なお郵政民営化法案反対で非公認37)、民主113(公示前177、前回177)、公明31(公示前34、前回34)、共産9(公示前9、前回9)、社民7(公示前5、前回6)、国民新党4(公示前4)、新党日本1(公示前3)、無所属・その他19(うち郵政民営化法案反対派の当選は13)の合計480議席)。投票率は67.51%(小選挙区、+7.65ポイント(前回は59.86%)。比例区は67.46%(+7.65ポイント))。
また総選挙で大敗して引責辞任(9/12未明)した民主党の岡田克也前代表の後任を選ぶ代表選に前原誠司代議士(43歳)が正式に立候補を表明(9/15)、新代表に選出された(→9/17。任期は岡田氏の残りの2006年9月までの1年。前原氏96票、菅直人元代表94票、有効投票総数190(無効2))。そして前原新代表は新執行部人事を決定した(→9/18。幹事長には鳩山由紀夫元代表、国会対策委員長には野田佳彦氏、政調会長には松本剛明氏など)。
第163特別国会が召集(9/21)され(→会期は11/1までの42日間)、首相指名選挙の結果、第3次小泉内閣が発足した(→9/21。17人の閣僚を全員再任。なお解散に反対して罷免(8/8)された島村宜伸前農水相に代わって岩永峰一農水相が起用されている)。そして小泉首相の所信表明演説が行われ(9/26)、各党の代表質問(衆院9/28、参院9/29)、衆院予算委(9/30)などが行われた。
さらに衆院本会議で郵政民営化関連法案の趣旨説明と質疑が行われ(→10/6。法案は民営化開始時期を6カ月遅らせて2007年10月とする以外は解散で廃案になった法案とほぼ同一内容。民主対案の郵政改革法案(→(1)郵便・郵便貯金は国の責任で全国サービスを維持、(2)郵貯預入限度額を2006年度中に700万円に、2007/10/1からは500万円に引き下げ、(3)2007/10/1からは簡易保険を廃止、(4)2007/10/1から公社の役職員を非公務員にするなどの内容)も一緒に審議)、衆院郵政民営化特別委(10/7)でも審議が行われた。そして郵政民営化関連法案は衆院本会議で可決され(→10/11。賛成338、反対138、合計476。当選した郵政民営化反対派(17人)で今回も反対したのは平沼赳夫代議士(無所属)、国民新党の綿貫民輔代議士、亀井静香代議士、亀井久興代議士、日本新党の滝実代議士の5人だけ。野呂田芳成代議士は欠席。前回反対した無所属の堀内光雄代議士、野田聖子代議士ら11人が賛成。なお民主の郵政改革法案は否決)、参院でも可決されて成立した(→10/14。賛成134、反対100、合計234。解散前の本会議(8/8)では自民から22人が反対、8人が棄権・欠席したが、今回は亀井郁夫氏が棄権、離党した国民新党の長谷川憲正氏と新党日本の荒井広幸氏が反対しただけで残りの27人は賛成。自民党は造反議員の処分へ。小泉首相は「政界の奇跡だね。この奇跡を実現してくれたのが、小泉を支持してくれた国民の皆さんのおかげです」などと)。なお参院神奈川選挙区補選が告示された(→10/6。10/23投・開票)。ちなみに特別国会閉幕(11/1)後に内閣改造・自民党役員人事が行われると見られている。
小泉純一郎首相が靖国神社を参拝した(→10/17、AM10:10頃。秋季例大祭初日。背広姿で拝殿で礼をしてさい銭箱にさい銭を入れるなどという一般参拝客と同じ形式で。首相就任以来5回目(2001/8/13、2002/4/21、2003/1/14、2004/1/1)。過去4回の参拝とは異なり、本殿に昇殿せず、記帳も献花料もなく、もちろん玉串料もなし。二度と戦争をしないという決意を表明、総理大臣である小泉純一郎が一人の国民として参拝、総理大臣の職務として参拝したのではない、などと。中国や韓国は反発)。
「もしも民主党が今回の総選挙で『敗北』した場合には最大の『敗因』は『政局オンチ』ということになるだろう…(中略)…解散直後からしばらくの間、民主党は避けることが不可能な郵政民営化問題をなんとか避けよう避けようとしてさらに事態を悪化させてしまったのである。やはり少なくとも政局的には民主党が郵政民営化関連法案に反対したのは致命的な大失敗だったのである」「民主党は小選挙区比例代表並立制の下で事実上反自民党票を独占してきた。特に菅直人前代表の時代には自分たちを単なる『クタバレ自民党』程度のものに大安売りし、自民党を厳しく批判して『政権交代(=クタバレ自民党)』と叫んで多くの反自民党票を吸収するだけの選挙に堕落していった。ところが今回のように自民党からいくつか『新党』が分裂して厳しく自民党を批判し、小泉自民党までもが『古い自民党をぶっ壊す』と自己批判して民主党による事実上の独占が崩れてしまうと存在感がほとんどなくなってしまったのである」などと公示前にもかかわらず筆者は前回の文章(→2005/8/26号)で民主党の「敗因」をあえて指摘しておいた。今ではかなり多くの賢明な読者が民主党の「敗因」に説得力を感じてくれているのかもしれない。
それにしても民主党はよくこの程度の「大敗」で食い止めることができたものである。もしも民主党が「デマゴーク(demagog)」(→扇動政治家)らだけでなく全党を挙げて大々的に「小泉催眠術」批判などを展開していたら誰もが目を疑うような信じられないほどの悲惨な結果に終わっていたかもしれない。もちろん様々な意味での「同情票」や世代交代への「批判票」もかなり含まれてはいたのだろうが、これだけ明白な総選挙結果を見ても、最大で約半数もの民主党国会議員がまだ「クタバレ自民催眠術」や「野党共闘催眠術」から覚めないということには本当に呆れさせられた。「あまりの大敗に茫然自失の状態だった」などという説があるらしいが、もしそうだとするならば最大で約半数もの民主党国会議員が「振り込め詐欺」の標的にされてしまうかもしれない。
<「正解」は賢明な人たちの数だけ存在>
もしかしたら圧勝した「小泉自民党」に投票したけれども、自民党296(公示前212)、公明党を含めた連立与党では全議席(480)の2/3以上の327という選挙結果を見て少し不安になってきたという人たちもいるのかもしれない。筆者は今回の文章の中で「小泉自民党」に投票した人たちは賢明な選択をしたと自信と責任を持って保証することになる。また最後の最後まで地道に政策を訴え続けた岡田克也前代表らを信じて政権交代が必要だと思って大敗した民主党(113(公示前177))に投票した人たちも同じように賢明な選択をしたと筆者は自信と責任を持って保証することになる。さらにその他の政党や新党、あるいは無所属の候補に投票した人たちも、掲げられた政策が実現する可能性がほとんどないということを十分に理解した上で投票していたのならば、必ずしも間違った選択をしたわけではないということを保証することができるのかもしれない。
当たり前と言えば当たり前の話だが、民主主義社会では「正解」はたった一つしか存在しないとは限らないのである。自分たちの行動とそこから生じたすべての結果に責任を持つのならば、「正解」はそうした責任を持った賢明な人たちの数だけ存在すると言ってもいいのである。そして多くの人たちが実際には「理想的な方法」ではなくそれぞれ違った「自分なりの確実な方法」を用いてそれぞれの「正解」を出したのだろう。だが、その多くの人たちが用いている「自分なりの確実な方法」はどんな場合でも自分にとって正しい答えを導き出すとは限らないのである。ある問題を判断するための正しい方法を用いた場合でも何かを誤解したために間違った答えを出してしまうこともあるだろうし、逆に判断する方法は完全に間違っていたとしても、たまたま正しい答えにたどりつくようなこともあるだろう。賢明な有権者が「自分なりの確実な方法」によって自分にとって本当に正しい選択をしたのかどうかを自分自身で検証することができる「道具」を提供することも政治ジャーナリズムの一つの重要な責任であると筆者は考えている。そして多くの賢明な有権者が導き出した「正解」が少なくとも今後も「正解」であり続けることを保証しようとする責任があるはずだと筆者は考えている。
ちなみに20年ぐらい前の政界を扱ったテレビドラマには「若い人たちの気持ちをつかむきっかけはカネか異性」というセリフがあったが、どうも最近の選挙では年齢や性別にかかわりなく「カネ」「性」「テレビ」などを連想させて感情を刺激することが効果的な手法になっているようである。改めて永田町周辺を見回してみると、良い意味でも悪い意味でも「『カネ』を連想させる政治家」「『性』を連想させる政治家」「『テレビ』を連想させる政治家」が実に多いのである。もちろんその中には「不適切な人物」もいるし、「必ずしも不適切だとは言い切れない人物」もいる。そして映像や経歴では非常に立派で美しく見えるような人物でも一度しゃべらせてみたらビックリするほど詰まらなくてがっかりしたという事例もかなり見られた。何にしても「カネ」「性」「テレビ」などを連想させて老若男女の感情を刺激するような選挙戦術が横行したことも今回の総選挙の大きな特徴の一つではないかと筆者は見ている。
実際には「カネ」「性」「テレビ」などを強く連想させるかどうかで自分が投票する候補を決めている人たちはそれほど多くはないのだろうが、「カネ」「性」「テレビ」などを強く連想させるかどうかということも「偽者の政治家」を見分けるための「道具」として使えるようになってきているのかもしれない。いずれにしても永田町周辺には「カネ」「性」「テレビ」などを強く連想させるものがあふれている。また六本木周辺には「カネ」と「どこかで聞いたような話」と「テレビ大好き人間」があふれている。そして永田町周辺にも六本木周辺にも少なくとも独創性と信念が欠けている。
「事実は小説よりも奇なり」という言葉があるが、今回の総選挙の結果は様々な意味で「事実はテレビや新聞よりも奇なり」だったと表現するべきなのかもしれない。総選挙では多くの政治家たちが落選して永田町周辺から姿を消したが、「選挙」のような確立された「おかしな人間や邪魔者に消えてもらうための制度」を持たないテレビや新聞などの既存のマスコミでは、どんなに間違ったことや無責任なことを繰り返し主張し続けてきた人物であっても、姿を消さずにそのまま別のもっともらしいことを主張することが許されているようである。彼らがどうしてもこのまま姿を消さないというのであれば、せめて国民が二度と欺かれることがないようにするために目立つ場所に「バカ」とか「ウソツキ」などという「鉢巻き」や「注意書き」を付けておいてもらいたいものである。
様々な立場によって実に様々な総選挙結果の見方があるのだろうが、筆者としては相変わらずいつものように「過去」「未来」、「ミクロ」「マクロ」という複数の視点をセットで用いる分析だけを行うことにする。ただし今回は、「この物語は悪魔のような鬼教師に小学6年の子供達が戦いを挑んだ一年間の記録」(日本テレビ系列・ドラマ「女王の教室」(最終回2005/9/17、放送終了)から)、「元暴走族の貧乏弁護士が偏差値36の落ちこぼれ高校生たちを学歴社会の最高峰・東京大学に現役合格させるまでを描く奇跡と感動の記録である」(TBSテレビ系列・ドラマ「ドラゴン桜」(最終回2005/9/16、放送終了)から)というようなテレビドラマ冒頭のナレーションなども参考にしながら、テレビなどを連想させるような永田町周辺の風潮への「対抗措置」も様々な形で講じてある。
以下の文章は「地盤、看板、かばん」なしの組織を持たない無名の貧乏政治記者が、現実政治を説明できない「政治学」や「報道」と称するものなどと戦いながら、「変人」と呼ばれた小泉純一郎総理の郵政民営化解散・総選挙とその後の政局を、「過去から未来へ」、「ミクロからマクロへ」という2つの「座標軸」を使って「科学的」に取材・分析した記録である(ただし映像や効果音、主題歌などは省略)。そして「メリット」や「デメリット」は一人ひとりの読者がそれぞれの立場から判断することになるのだろう。
<選挙結果はどういう意味を持っているのか>
今回の総選挙結果はいったいどういう意味を持っているのだろうか。やはり選挙結果には様々な立場からの様々な見方があるのだろう。「郵政民営化に賛成か反対か」を最大の争点にした小泉首相(自民党総裁)が解散・総選挙を決断し、しかも大幅に投票率が上昇しなければここまでの歴史的な大勝利にはならなかったであろう自民党にあえて注目すれば、現職の自民党総裁が大政党の組織を利用して内部に「新党」をつくり、公明党に加えて「新党」の推薦も受けた自民党候補が都市部を中心に大差で大量当選したような選挙結果になったと見ることができる。また総選挙大敗を受けて岡田前代表が辞任して前原新代表に代わった民主党にあえて注目し、選挙期間中に局所的に流行した表現を用いれば「こんにちは前原誠司。さようなら菅直人」という選挙結果になったと見ることもできる。そして筆者にとっては今回の総選挙はいくつかの「仮説」を検証することができた実に貴重な「自然実験」の場となった。もしも小泉首相と岡田前代表が「新ルール」を正しく理解した上で意識的に「自然実験」にご協力いただいたのだとしたら全国民に代わって感謝を申し上げたい。
また今回の総選挙が「おかしな人間や邪魔者に消えてもらうための制度」としてどれだけ機能したのかということに注目して選挙結果を見ることもできるだろう。前回(→2005/8/26号)には「膨大な時間と費用を費やすことが変わらないのならば、この機会に国民を欺く『正義の味方』や『弱者の味方』気取りの政治家たち(→参考:2005/6/27号)や『公約』を守らない政治家たちなどのような『偽者の政治家』(→参考:2005/5/17号)、あるいは『デマゴーク(demagog)』(→扇動政治家)を一人でも多く落選させ、間違ってもどさくさに紛れて復活させたり新しく誕生させたりしないようにする方法を考えるしかない。解散・総選挙によって永田町から国民を欺く『偽者の政治家』を大量追放することができるのならば多くの国民にとってもそう悪い話にはならないはずである」などと書いたが、大変残念なことに今回の総選挙では実に多くの「不適切な人物」を復活させたり新しく誕生させたりしてしまったのではないかと筆者は見ている。そして最大の「敗因」は、今回の総選挙が様々な意味で「一夜漬け」の選挙だったということを含めた時間的制約の問題、そしていくつかの制度的な問題である。
具体的にどの議員が「不適切な人物」なのかということはそれぞれの立場によって違ってくるのだろうが、一般論としては「不適切な人物は隅っこに追いやられただけ」という非常に中途半端な選挙結果に終わったのである。衆議院本会議場の議席に注目するならば、「新時代の議員」や「比例棚ボタ当選議員」は議場前方の「端」、「ドサクサ紛れの復活議員」は議場前方や議長に向かって右側の「端」にそれぞれ新しく入り、その結果として「古い議員」は議場後方の「端」、「郵政民営化反対の無所属議員」は議長に向かって右側の「端」にそれぞれ仲良く追いやられたのである。これらも新しい国会を象徴的に示す現象である。あくまでも念のために言っておくが、「端」にいるすべての議員が「不適切な人物」だというわけではない。
海外にも様々な総選挙結果の見方があるのだろう。もしかしたら与野党の議席差がごくわずかという非常に中途半端な選挙結果に終わったドイツ(9/18投票。10/10に総選挙でほぼ同数となったキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)がメルケル氏(CDU党首)を首相とする大連立で合意。初の女性首相が誕生へ)やニュージーランド(9/17投票)の人たちにとっては日本の総選挙結果は実にうらやましく見えているのかもしれない。
また米国南部に上陸した超大型ハリケーン(→8/29にルイジアナ州周辺に上陸した「カトリーナ」。さらに9/24にはテキサス・ルイジアナ州境付近に「リタ」も上陸)への不十分な対応やイラク問題などで国民の支持を失っているブッシュ大統領にとっては解散・総選挙を決断して圧勝した「盟友」の小泉首相は実に頼もしく見えていることだろう。どんなに豊かな民主主義国家、強大な軍事大国であっても自然災害には全く無力であるということがよりによって米国内に「イラクのような場所」が出現するという衝撃的な形で改めて示されてしまったのである。そしてパキスタン北部などでは大地震(10/8)で大きな被害が出ている。もちろん日本も自然災害とは無縁ではない。
北朝鮮から見ても小泉自民党の圧勝は様々な意味で衝撃的な出来事であり、おそらく小泉首相の自民党総裁としての任期(2006年9月)内にそれなりに意味のある行動を起こさざるを得ない状態に追い込まれてしまったのだろう。ちなみに休会(8/7)になっていた6カ国協議で北朝鮮が核放棄を確約する初の共同声明を採択し(9/19、11月上旬再開予定)、日本との交渉を早期に再開させる方向になったことなどとの関連は定かではない。
<見たことも聞いたこともない人たちにどうすれば信じてもらえるのか>
以上のように様々な立場によって実に様々な見方があると考えられるが、やはり筆者としては今回の総選挙を「過去から未来へ」「ミクロからマクロへ」という2つの「座標軸」を使って「科学的」に分析することにする。ここで科学とは「体系的であり、経験的に実証可能な知識」(広辞苑(第5版)、岩波書店)のことである。あえて言い換えれば「全く同じ条件を再現できれば誰が何回やっても全く同じ結果になるものだけを定められた基準に従って集めたもの」ということになるのだろう。そして現実政治の分析や政治ジャーナリズムに適用可能な「科学的」という程度まで緩和するのならば「一つひとつの事実が間違いなく事実であることを確認し、それらの因果関係などを正確に判断すれば誰でも同じ結論になるものだけを集めたもの」ということになるのではないかと筆者は考えている。筆者は基本的には「誰でもその気になれば入手可能な事実」から出発し、「過去から未来へ」「ミクロからマクロへ」という2つの「座標軸」を使いながら「筆者にしかできないもの」を創造し、そして必要ならば読者にも筆者と全く同じ道をたどって検証してもらうということも可能にするような科学的手法をあえて採用して今回の総選挙を分析することになる。筆者が採用する科学的手法の本質は「そのことを見たことも聞いたこともない人たちにどうすれば信じてもらえるようになるのか」ということである。
もしもこのような科学的手法によって比較的少数の「誰でもその気になれば入手可能な事実」から予想以上に多くの「新しい有用なもの」を創造することができるということが明確な形で示されるのならば、はるかに多くの事実をずっと多くの資金と人員と時間をかけて組織的・体系的に分析していけばさらに多くの「新しい有用なもの」をほぼ確実に創造することが期待できるという状況が生み出されるはずである。そして実はこのことは政権交代を実現へと導いていく一つの基本モデルにもなっているのである。もしもある政党が創意工夫によって非常に少ない資金と人員と時間で予想以上に大きな成果を挙げることができるということを誰の目にも明らかな形で示すことができるのならば、多くの賢明な有権者がその政党に「官僚機構」という優秀で膨大な人員・組織と「国家予算」という莫大な資金の運用を任せてみようと考えても全く何の不思議もないはずである。具体的にどのような創意工夫によって少ない資金と人員と時間でも大きな成果を挙げることができるということを説得力のある形で示していくかは政治センスの問題である。そして「政府・与党は官僚機構という優秀なスタッフを持っているがこちらは…」などという言い訳を野党が繰り返している間は政権交代が実現する可能性は非常に低いし、さらに言えばいわゆる「小さな政府」の実現にとっても大きな障害になっていくはずである。
ちなみに筆者のような科学的手法を採用していれば、例えば、朝日新聞による土台の「5W1H」が崩れたままのNHK番組への政治圧力疑惑記事の問題(→参考:2005/2/9号)、ましてや朝日新聞による新党結成関連記事をめぐる情報メモの捏造問題(8/30)のようなものは最初から起こらなかっただろうし、仮に起こったとしてもすぐに訂正と謝罪という形で決着が付いたことであろう。さらには科学的手法を採用すれば「取材の実感」だとか「長い取材記者としての経験」だとか、いわゆる「政治学」などというよく分からないものを突然持ち出して賢明な人たちをとりあえず煙にまいてごまかそうとするようなことも不可能になるはずである。日本の現実政治の分析や政治ジャーナリズムの「改革」や「再生」の切り札は「そのことを見たことも聞いたこともない人たちにどうすれば信じてもらえるようになるのか」という原点にあるはずだと筆者は考えているのである。
今回の総選挙を「過去から未来へ」「ミクロからマクロへ」という2つの「座標軸」を使って「科学的」に分析すると、少なくとも以下のような3つのことが見えてくるのである。
<1>自民党と民主党が初めて「新ルール」を正しく理解した指導者の下で政権をかけて「マニフェスト(政権公約)選挙」を戦ったことにより、日本の政治の「ルール」が実はかなり以前から変わっていたということが明確な形で示された。
<2>たとえ「ルール」は大きく変わっても、「政治家(議員)」「公約」「政党」とは何か、などという民主主義の根幹部分は全く変わらないということが改めて確認された。
<3>自民党は今回の総選挙で今まで見えていた「壁」を破ったが、民主党には深刻で厚い「壁」がいよいよ間近に迫ってきた。
以上の3点をまずは「過去から現在までの時間軸」と「ミクロからマクロへ」という2つの「座標軸」を使って可能な限り「科学的」に説明していくことにする。
事実はテレビや新聞よりも奇なり(2005/10/18) (2/8) 「ルール」はかなり以前から変わっていた
<総選挙関係の動き>
小泉純一郎首相(自民党総裁)が山梨県・静岡県(8/27)で応援演説した。
日本記者クラブ主催の党首討論会が行われた(8/29。小泉首相は「(過半数の241から)1議席でも欠ければ退陣する」などと)、また自民・民主などが比例名簿を発表した(8/29)。
第44回総選挙が公示(9/11投・開票)され、小泉首相(自民党総裁、東京・神奈川)や岡田克也民主党代表(東京・埼玉)らが各地で応援演説した(→8/30。なお立候補者数は小選挙区比例代表並立制になってから最少の1132人に)。
選挙期間(8/31、2日目):小泉首相(自民党総裁)は滋賀・奈良・京都で応援演説した。また小泉首相や岡田民主党代表ら7党党首が8/31深夜放送のTBS報道番組で討論した。
選挙期間(9/1、3日目):小泉首相(自民党総裁)はタイのタクシン首相と会談した(→9/1。大筋合意していた自由貿易協定(FTA)締結を確認)。
選挙期間(9/2、4日目):中央選挙管理会は公選法違反で罰金刑が確定して公民権停止中であることが判明したために社民党の比例中国ブロック候補者名簿から羽熊直行氏(比例単独、5位)を抹消したと発表した(→立候補者総数は1131人に)。小泉首相(自民党総裁)は熊本・福岡(→久留米市など)・佐賀・長崎各県内で街頭演説した。
選挙期間(9/3、5日目):小泉首相(自民党総裁)は福岡県内で街頭演説した。
選挙期間(9/4、6日目):自民優勢・民主苦戦・自公で過半数以上を確保へなどという総選挙情勢分析が9/4付新聞朝刊各紙に掲載された。小泉首相(自民党総裁)や岡田民主党代表ら7党党首がテレビの報道番組に出演した(→9/4。フジテレビ、NHK、テレビ朝日)、また小泉首相は赤羽駅前・池袋駅東口など東京都内で街頭演説など)。
選挙期間(9/5、7日目):小泉首相(自民党総裁)は福島・宮城・千葉県内で街頭演説した。なお期日前投票は8/31-9/4までに約201万人で好調であることが明らかになった。
選挙期間(9/6、8日目):小泉首相(自民党総裁)は不在者投票(→期日前投票ではない)後に愛知・岐阜県内で街頭演説した。なお小泉首相や岡田民主党代表らの遊説日程が九州付近を縦断して日本海に抜けた台風14号のため変更になった。
選挙期間(9/7、9日目):小泉首相(自民党総裁)は埼玉県内で応援演説した。また岡田民主党代表は田中真紀子元外相と都内などで街頭演説した。
選挙期間(9/8、10日目):小泉首相(自民党総裁)は大阪府内・兵庫県内で街頭演説した。
選挙期間(9/9、11日目):小泉首相(自民党総裁)は北海道内・愛知県内で街頭演説した。
選挙期間(9/10、12日目=最終日):小泉首相(自民党総裁)は東京都内・埼玉・千葉県内で街頭演説するなど各党党首らが各地で有権者に最後の訴えをした。
第44回総選挙の投・開票(9/11)が行われ、自民は圧勝、民主は大敗した。そして総選挙での大敗を受けて民主党の岡田克也代表が辞意を表明した。
総選挙結果:自民296(公示前212、前回総選挙直後237、なお郵政民営化法案反対で非公認37)、民主113(公示前177、前回177)、公明31(公示前34、前回34)、共産9(公示前9、前回9)、社民7(公示前5、前回6)、国民新党4(公示前4)、新党日本1(公示前3)、無所属・その他19(うち郵政民営化法案反対派の当選は13)の合計480議席。投票率は67.51%(小選挙区、+7.65ポイント(前回は59.86%)。比例区は67.46%(+7.65ポイント))。ちなみに期日前投票は約896万人(前回2003年の不在者投票は約608万人)。自民、公明で327、全議席の2/3以上(320)を確保。自民単独でも絶対安定多数(269)を大きく上回る。自民は都市部で圧勝(→東京都(25小選挙区中23(以下23/25))、神奈川県(16/18)、千葉県(12/13)、埼玉県(12/15)など)。東京では23小選挙区で勝利(→与党では24/25。例外は東京12区の公明党の太田昭宏氏、東京18区で自民党の土屋正忠前武蔵野市長(11万8879票)に約8000票差とあと一歩まで迫られた民主党の菅直人前代表(12万6716票)だけ。なお前回菅氏と対決した自民党の鳩山邦夫氏は選挙区を変更して福岡6区から当選)・比例では7議席(→自民は8議席を獲得できる得票数だったが、名簿は30位までの7人しか残っていなかったため7議席にとどまる。おかげで社民党の保坂展人元代議士(比例単独)が当選)。なお自民から公認されなかった郵政民営化反対派で小選挙区から立候補(33人)して当選したのは、国民新党の亀井静香氏(広島6区、自民が支援した無所属のライブドア社長の堀江貴文氏を破る)、無所属の平沼赳夫氏(岡山3区)、野田聖子氏(岐阜1区)ら15人(→2人が比例で復活当選)。なお新党大地の鈴木宗男元代議士(比例単独)、社民党の辻元清美元代議士(大阪10区で落選、比例で復活当選)、無所属の中村喜四郎元代議士(茨城7区)らも当選。
<総選挙後の動き>
小泉首相は総選挙を受けて記者会見し、公明党の神崎武法代表と党首会談した(→9/12。自公の連立維持を確認)。なお参院本会議で郵政民営化関連法案に反対した中曽根弘文参院議員ら旧亀井派の参院議員11人が総選挙結果を受けて賛成に回ることが明らかになった(9/13)。また自民党は初当選したばかりの新人議員のための研修会を開催した(→9/20。従来の派閥ではなく党による新人教育。新人議員の派閥入りに消極的な考えを示している小泉首相も出席)。
総選挙で大敗して引責辞任(9/12未明)した民主党の岡田克也前代表の後任を選ぶ代表選に若手・中堅の前原誠司代議士(43歳)が正式に立候補を表明(→9/15。前原氏は民主党の再生が日本の民主主義を再生する唯一の道だと確信、民主党を戦う集団に変えていくという一語に尽きる、などと)、新代表に選出された(→9/17。任期は岡田氏の残りの2006年9月までの1年。前原氏96票、菅直人元代表94票、有効投票総数190(無効2))。そして前原新代表が新執行部人事を決定した(→9/18。幹事長には鳩山由紀夫元代表、国会対策委員長には野田佳彦氏、政調会長には松本剛明氏など)
総選挙を受けた第163特別国会が召集(9/21)され(→特別国会の会期は11/1までの42日間。議長には河野洋平氏を再任、副議長には横路孝弘氏)、第3次小泉純一郎内閣が発足した(→9/21。衆参両院本会議での首相指名選挙(→衆院では小泉純一郎340、前原誠司114、志位和夫9、福島瑞穂7、綿貫民輔6、徳田毅1、投票総数479(無効2を含む、欠席1)。なお参院では小泉純一郎134、前原誠司84、志位和夫9、福島瑞穂6、綿貫民輔3、投票総数236)後、17人の閣僚を全員再任(なお解散に反対して罷免(8/8)された島村宜伸前農水相に代わって岩永峰一農水相が起用されている。小泉首相は内閣発足後に記者会見)。そして小泉首相の所信表明演説が行われ(→9/26。約3200字で異例の短さ(約14分)だという)、各党の代表質問(衆院9/28、参院9/29。衆院では民主党の前原誠司代表、鳩山由紀夫幹事長、自民党の武部勤幹事長、公明党の神崎武法代表らが質問)、衆院予算委(9/30)などが行われた。
さらに衆院本会議で郵政民営化関連法案の趣旨説明と質疑が行われ(→10/6。法案は民営化開始時期を6カ月遅らせて2007年10月とする以外は解散で廃案になった法案とほぼ同一内容。民主対案の郵政改革法案(→(1)郵便・郵便貯金は国の責任で全国サービスを維持、(2)郵貯預入限度額を2006年度中に700万円に、2007/10/1からは500万円に引き下げ、(3)2007/10/1からは簡易保険を廃止、(4)2007/10/1から公社の役職員を非公務員にするなどの内容)も一緒に審議)、衆院郵政民営化特別委(10/7)でも審議が行われた。そして郵政民営化関連法案は衆院本会議で可決され(→10/11。賛成338、反対138、合計476。当選した郵政民営化反対派(17人)で今回も反対したのは平沼赳夫代議士(無所属)、国民新党の綿貫民輔代議士、亀井静香代議士、亀井久興代議士、日本新党の滝実代議士の5人だけ。野呂田芳成代議士は欠席。前回反対した無所属の堀内光雄代議士、野田聖子代議士ら11人が賛成。なお民主の郵政改革法案は否決)、参院本会議でも可決されて成立した(→10/14。賛成134、反対100、合計234。解散前の本会議(8/8)では自民から22人が反対、8人が棄権・欠席したが、今回は亀井郁夫氏が棄権、離党した国民新党の長谷川憲正氏と新党日本の荒井広幸氏が反対しただけで残りの27人は賛成。自民党は造反議員の処分へ。小泉首相は「政界の奇跡だね。この奇跡を実現してくれたのが、小泉を支持してくれた国民の皆さんのおかげです」などと)。なお参院神奈川選挙区補選が告示された(→10/6。10/23投・開票)。
小泉純一郎首相が靖国神社を参拝した(→10/17、AM10:10頃。秋季例大祭初日。背広姿で拝殿で礼をしてさい銭箱にさい銭を入れるなどという一般参拝客と同じ形式で。首相就任以来5回目(2001/8/13、2002/4/21、2003/1/14、2004/1/1)。過去4回の参拝とは異なり、本殿に昇殿せず、記帳も献花料もなく、もちろん玉串料もなし。二度と戦争をしないという決意を表明、総理大臣である小泉純一郎が一人の国民として参拝、総理大臣の職務として参拝したのではない、などと。中国や韓国は反発)。
小泉首相の靖国神社参拝が政教分離を定めた憲法20条に違反するなどとして台湾や日本の戦没者遺族らが国・小泉首相・靖国神社を相手に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で大阪高裁は小泉首相の参拝を違憲と判断した(→9/30。参考:福岡地裁(2004/4/7)。損害賠償請求を退けたので国側の勝訴となり、国側は最高裁に上告できず。小泉首相は総理大臣の職務として参拝しているのではない、どうして違憲なのか理解に苦しむ、などと)。
小泉首相はブッシュ米大統領(9/13)、韓国の盧武鉉大統領(9/22)と電話会談した。また小泉首相は国連総会特別首脳会議(9/14に開幕、9/17に「成果文書」を採択して閉幕)で演説した(→9/15に出発、同日深夜にニューヨークに到着。9/16午前(日本時間)に演説(→安保理常任理事国入りに強い意欲を表明)、同日深夜に帰国。9/17未明に特別国会の9/21召集を持ち回り閣議で決定、という強行日程)。
後藤田正晴・元副総理が9/19が死去(→91歳)していたことが明らかになった(9/21)。
「愛・地球博」(愛知万博)が閉幕した(→9/25。愛知県長久手町での閉会式には皇太子さまや小泉首相も出席。入場者は目標の1500万人を大きく上回る2200万人超に。リピーターの多さが最大の特徴)。
道路関係4公団民営化によって新たに6つの高速道路会社が正式に発足した(10/1)。
なお小泉首相は連合定期大会に出席した(→10/5、4年ぶり2回目)。ちなみに自民・公明の連立政権が7年目(10/5)に入った。
民主党元代議士の小林憲司容疑者(→衆院愛知7区から立候補、落選)と秘書ら3人が覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで愛知県警と警視庁に現行犯逮捕された(→9/18。民主党は小林容疑者を衆院比例東海ブロックの名簿から登録抹消、そして除籍処分)。
日本歯科医師会(日歯)側から自民党旧橋本派への1億円ヤミ献金事件で政治資金規正法違反の罪に問われた元官房長官の村岡兼造被告の東京地裁での公判に青木幹雄参院議員会長(→9/27。ヤミ献金処理への関与を否定)、橋本龍太郎元首相(→10/11。小切手を受け取った記憶はないが記録などから受領と判断などと。ヤミ献金処理への関与を否定)がそれぞれ弁護側証人として出廷した。
最高裁大法廷が在外邦人の選挙権を比例区だけに制限している公職選挙法の規定が違憲だとして在外邦人らが国を相手に損害賠償などを求めた訴訟の上告審で違憲判断、東京高裁判決を破棄して原告の選挙区での選挙権を確認、国に1人当たり5000円の賠償を命じる判決を言い渡した(9/14)。
ちなみに朝日新聞が虚偽の取材メモに基づいた新党結成関連記事(8/21・8/22付朝刊)を掲載し、虚偽のメモを作成・報告したとして長野総局の記者(28歳)を懲戒解雇したことが明らかになった(→8/30付朝刊。記者が田中康夫・長野県知事に直接取材していないにもかかわらず、亀井静香・元自民党幹事長と「長野県内」で会談(→実際には都内?)したとし、会談での知事の発言を過去の記者会見などから引用して「ねつ造」、虚偽の取材メモを作成・報告していたことが知事側の指摘をきっかけに明らかになったという)。
また朝日新聞が報じたNHKの従軍慰安婦特集番組への政治圧力疑惑(→1/12付朝刊。「検証」記事(7/25付朝刊))で朝日新聞が委嘱した第三者機関が「見解」を発表、朝日新聞は取材が不十分だったことを認める一方で記事は訂正しない方針を明らかにした(→10/1付朝刊に関連記事を掲載。第三者機関は1月の記事は「真実と信じた相当の理由」はあるが、確認取材が不十分などと。月刊現代9月号に取材内容を整理した社内資料が流出した問題で編集局長、社会部長を更迭するなどの処分も。NHK側は記事を訂正しないことは納得できないなどというコメント)。
<韓国・北朝鮮関係>
韓国政府が日韓国交正常化交渉に関する外交文書を公開した(8/26)。
韓国の盧武鉉大統領は野党第一党・ハンナラ党の朴槿恵代表と会談して大連立を正式要請、朴代表は拒否した(→9/7。与党・開かれたウリ党とハンナラ党の大連立構想は「地域主義」解消などのために盧大統領が主張)。
北朝鮮の核問題などを協議する6カ国協議の中国首席代表・武大偉外務次官が北朝鮮を訪問した(8/27)。休会していた北朝鮮の核問題などの6カ国協議が9/13に再開されることを議長国・中国が発表した(9/8)。
北朝鮮の核問題などを協議する6カ国協議が北京で再開(9/13)され、米朝、日朝(→外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長と北朝鮮の金桂冠外務次官が9/14に会談。日本側は日本人拉致問題の真相究明などを要求、北朝鮮側は本国で検討中などと。今回は短時間を含めれば毎日接触)などの二国間協議が連日行われた。北朝鮮が軽水炉型原発建設を合意文書に盛り込むことなどを要求して交渉は暗礁に乗り上げたが、北朝鮮が核放棄を確約する初の共同声明を採択して閉幕した(→9/19。共同声明は、6カ国協議の目標が平和的な方法による朝鮮半島の検証可能な非核化であることを再確認し、(1)北朝鮮は全ての核兵器及び既存の核計画を放棄し、早期に核不拡散条約(NPT)及び国際原子力機関(IAEA)の保障措置に復帰することを約束、(2)米国は朝鮮半島に核を保有せず、北朝鮮を攻撃する意図がないことなどを確認、(3)北朝鮮は核の平和利用の権利を保有すると発言、他国はその発言を尊重、適当な時期に軽水炉提供問題を議論することで合意、(4)米国と北朝鮮は相互の主権を尊重し、平和共存して国交正常化のための措置を取ることを約束、(5)日本と北朝鮮は日朝平壌宣言にしたがって不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として国交正常化のための措置を取ることを約束、(6)北朝鮮以外の5カ国は北朝鮮に対するエネルギー支援の意向を示す、(7)次回第5回協議を北京で11月初旬に開催、などの内容)。
なおニューヨークで町村信孝外相、ライス米国務長官、潘基文韓国外交通商相による日米韓外相会談も行われた(9/18)。また町村信孝外相は日本と北朝鮮が政府間対話の早期再開で合意したことを明らかにした(→9/20。日程、場所は調整中)。
朝鮮労働党創建60周年記念式典が行われた(→10/10。金正日総書記も出席。注目された後継者問題についての言及などはなし)。
<中国・台湾関係>
中国の胡錦濤国家主席がニューヨークでブッシュ米大統領と会談した(9/14)。
中国が抗日戦争勝利60周年記念式典を行った(→9/3。胡錦濤国家主席が演説)。
日本と中国の中間線付近の東シナ海で中国が開発を進めている春暁ガス田の周囲を中国海軍の軍艦5隻が航行したことが明らかになり(→9/9。付近で中国海軍の軍艦が確認されたのは初めて)、さらに付近で中国が開発する天然ガス田「天外天」の掘削施設の煙突から本格的な生産開始を示すと見られる炎が確認されたことも明らかになった(→9/20。外務省は中国側に抗議)。また東シナ海の天然ガス開発問題についての日中局長協議が東京で行われた(→9/30-/10/1。日本側は中間線付近の両側の海域での共同開発を初めて提案、中国側は10月中に北京で行われる次回協議で回答へ)。
台湾高速鉄道(新幹線)が工事の遅れのために開業が1年延期されることが明らかになった(9/8)。
中国は有人宇宙船「神舟6号」の打ち上げに成功した(→10/12。2003年10月に続いて2度目。10/17早朝無事帰還)。
<米超大型ハリケーン関係>
超大型ハリケーン「カトリーナ」が米ルイジアナ州周辺に再上陸(8/29)して多数の死者・行方不明者を含む大きな被害を出したが(→米政府はルイジアナ・ミシシッピ両州に非常事態宣言を出した(8/29))、連邦政府や州政府の救援活動は遅れ、冠水したニューオーリンズなどでは略奪なども横行して治安が悪化した。救援活動などの不手際に対する批判が高まる中、ブッシュ大統領は再三被災地を訪問、視察した(→大統領は9/3未明(日本時間)にミシシッピー州・ビロクシなど被災地を視察、当局の対応が不十分なことを認める。9/5に再度被災地を訪問。9/12に3度目の訪問。そして大統領は記者会見で被害拡大の責任を認めた(9/13))。そして米連邦緊急事態管理庁(FEMA)のブラウン長官が辞任した(9/12)。またブッシュ米大統領は9/15(日本時間9/16)に超大型ハリケーン「カトリーナ」の被害を受けたルイジアナ州ニューオーリンズから全米向けテレビ演説した(→史上最大の復興努力になるなどと)。
米南部メキシコ湾岸を進んでいた大型ハリケーン「リタ」も米テキサス・ルイジアナ州境付近に上陸した(→9/24。住民の大規模避難によって人的被害は大きくなかったが、各地で洪水や停電などの被害も)。
<イラク>
イラク・サマワに派遣されていた陸上自衛隊第6次イラク復興支援群の第3陣約200人が帰国した(8/27)。
イラク憲法起草委員会は3回期限延長されていた新憲法草案を決定、暫定国民議会が承認した(→8/28。連邦制を支持するシーア派とクルド人は賛成。多くのスンニ派の同意は得られなかったという。憲法草案の是非を問う国民投票は10/15までに実施へ。なお3州の2/3以上の反対でも否決される)。
イラク・バグダッドでイスラム教シーア派信徒数千人がモスクに向けて移動中に迫撃砲弾が打ち込まれた後にうわさによるパニックが発生した(→8/31。自爆テロ犯が紛れ込んだとのうわさが流れたという。多数が橋からチグリス川に転落、死者は900人以上に)。
国連の対イラク人道支援事業「石油・食料交換計画」をめぐる不正事件で独立調査委員会が報告書を国連安全保障理事会に提出、発表された(→9/7。アナン事務総長自身の不正関与は否定)。
米ワシントンなどでイラクからの米軍撤退を求めるデモや集会が行われた(9/24)。
イラクで新憲法草案の是非を問う国民投票(10/15)が行われた。
<その他>
ブッシュ米大統領は9/3に死去したレンキスト連邦最高裁長官の後任に同じく保守派のジョン・ロバーツ氏を指名(9/5)、上院は賛成多数で承認した(→9/29。賛成78、反対22)。米同時多発テロから4年になった(9/11)。またブッシュ大統領は退任するオコナー連邦最高裁判所判事の後任に大統領法律顧問で女性のマイアーズ氏を指名した(→10/3。保守派。上院の承認が必要)。
ウクライナのユーシェンコ大統領はティモシェンコ首相ら全閣僚を解任した(9/8)。
9/7に投票が行われたエジプト初の複数候補による大統領選で現職のムバラク大統領が当選したことが明らかになった(→9/10。ムバラク氏の得票率は88.6%だが、投票率はわずか約23%だという)。
イスラエル軍がパレスチナ・ガザ地区からの撤退を完了した(9/12)。
香港ディズニーランドが開業した(9/12)。
ニュージーランド総選挙の投・開票が行われた(→9/17。クラーク首相の労働党が第1党になるも過半数を確保できず、野党・国民党とはわずか1議席差)。
ドイツ総選挙の投・開票(9/18)が行われた(→与野党がほぼ同数になり連立の枠組みが焦点になっている。メルケル氏(CDU党首)の野党・キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が225議席(得票率35.2%)で第1党になるが、シュレーダー首相の与党・社会民主党(SPD)は222議席(同34.3%)で3議席差(→4議席差で確定)、いずれも単独過半数は獲得できず。CDUとSPDの大連立を含めて連立交渉は難航)。そして総選挙でほぼ同数となったキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)がメルケル氏(CDU党首)を首相とする大連立で合意した(→10/10。初の女性首相が誕生へ。約1カ月続いた政治的混乱にようやく終止符)。
アフガニスタン総選挙と地方選の投・開票も行われた(→9/18。国連主導の民主化プロセスの最終段階)。
国際原子力機関(IAEA)理事会は英仏独の提出したイランの核問題の国連安保理付託をとりあえず先送りする決議を賛成多数で採択した(→9/24。英、独、仏、米、日本などの賛成22、ベネズエラの反対1、ロシアや中国などの棄権12。イランによるウラン濃縮関連の転換作業再開を非難。イラン核問題の安保理付託の必要性も盛り込む)。
インドネシア・バリ島で同時爆弾テロが発生、22人以上が死亡した(→10/1夜。日本人1人を含む。なお3人は自爆テロ犯の可能性。ジェマー・イスラミア(JI)の犯行と見られている。参考:バリ島爆弾テロ事件(2002/10/13))。
2005年のノーベル平和賞は国際原子力機関(IAEA)とエルバラダイ事務局長に送られることが明らかになった(10/7)。
パキスタン北部を震源とするM7.6の大地震が10/8午前(日本時間同日昼)に発生、パキスタン、カシミール地方、インド、アフガニスタンで大きな被害が出た。
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