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○「次の次」をも見据えた「次」の行動こそが必要(2003/8/1)。
○核放棄と体制保証の交換は最低・最悪の結果を招く(2003/4/30)。
○「優先順位」と「本質」を決して見誤ってはならない(2003/3/10)。
○「言葉遊び」ではなく具体的に物事を成し遂げていくことが必要(2003/2/11)。
○誤った「処方箋」と「コンプレックス」は破局を招くだけ(2003/1/13)。
○北朝鮮は「谷底」に落ちる以外の選択肢を自ら捨て去るつもりなのか?(2003/1/5)。
▽参考:日本の政治。
小泉純一郎首相が自民党総裁に再選(9/20)されて内閣改造(9/22)が行われた。そして第157臨時国会が召集(9/26)され、小泉首相が所信表明演説を行った。正直な話、私は小泉首相の演説を聞いてガッカリした。ガッカリしたのは演説の個別具体的な内容に不満があったからというよりも、むしろ演説全体から「流れ解散」の強い予感を感じたからである。永田町周辺は既に10/10解散、11/9投・開票という日程で動き始めているが、私はそうした一連の動きを非常に冷ややかに見つめている。私は「流れ解散」には断固反対である。「変人」と言われた小泉首相も「国民に信を問う時期はそろそろ来たのかなあ、という感じを率直に言って持っております」(9/22夜の内閣改造を受けての記者会見で)などと解散・総選挙を強く意識しているようだが、やはりこのまま「流れ」に身を任せてしまうのだろうか。小泉首相も与野党の勘違いした政治家たちと同じようについにキレてしまうのだろうか(→参考:2003/8/1号etc.)。それでもどうしても小泉首相が解散するというのならば誰もそれを止めることはできないが、いま「流れ解散」しても小泉首相の改革を本気で推進する議員の数はほとんど増えないし、小泉首相に代わって確実に日本を改革する勢力が政権を獲得することもあり得ないし、将来世代に対して無責任な与野党の勘違いした政治家たちの数が減ることもあまり期待できないということだけはしっかりと認識しておいてもらいたいものである。くどいようだが、私は「流れ解散」には断固反対である。解散・総選挙をやるのならば改革の加速を含めて大きな変化が期待できなければ全く意味はないと私は考えている。
北朝鮮の核兵器開発問題を協議した6カ国協議(8/27-8/29)や中国など関係国の努力を通じて北朝鮮の「小爆発」だけはなんとか先送りすることができたようである。しかし相変わらずイラクではテロや襲撃事件が相次いでいるし、イスラエルとパレスチナの暴力の応酬も続いている。その他にも日本でも世界各地でもテロや理不尽な事件が相次いでいる。物事をあまり悲観的に見てはいけないのかもしれないが、「今という時代」は世界各地で「小爆発」を引き起こしながらも少しずつ爆発の危険度を高めつつあるように私には思えてくる(→参考:2003/6/1号etc.)。
いつものように前回からの北朝鮮問題をめぐる動きをまとめておく。
北朝鮮の核兵器開発問題を協議する米中朝日韓ロによる6カ国協議が北京で行われた(8/27-8/29)。北朝鮮は6カ国協議や関連する場で米国による「体制保証」などに固執し続け、核兵器などをちらつかせた脅迫を含む挑発を繰り返したが、日米韓3カ国はもちろんのこと中ロ両国も非常に冷ややかな反応を示しただけだったという。日本は初日の全体協議の基調演説で核とミサイルに加えて北朝鮮による日本人拉致問題の包括的な解決を求めた(→北朝鮮は反応を示さず、米は拉致問題の解決の重要性に言及)。そして6カ国協議期間中には米朝(8/27)に加えて日朝(8/28,8/29、拉致問題は平行線、懸案解決のための話し合い継続では一致。北朝鮮側は日朝平壌宣言にのっとって一つひとつ解決などと言ったという)、南北朝鮮(8/27)などの2国間協議も活発に行われたが、議長国の中国によって6カ国が協議継続や状況を悪化させる言動をとらないことなど6項目(→(1)対話を通じた平和的解決、(2)朝鮮半島の非核化・北朝鮮の安全への懸念の考慮、(3)段階的・同時並行的で公正な解決、(4)状況を悪化させる言動を取らない、(5)対話の維持・信頼の醸成・共通認識の拡大、(6)外交ルートを通じた次回日時と場所の速やかな確定、という内容?)で合意に達したとの総括が発表されたこと以外には目に見える形での成果はなかった。そして現時点(9/28)では次回の6カ国協議の日時や場所は未定である。
北朝鮮の国会に当たる最高人民会議(9/3)が開かれたり(→金正日総書記を国防委員長に再選。なお金総書記も出席)、建国55周年記念日(9/9)にピョンヤンで金総書記の前を大勢の兵士や市民が行進する大規模なパレードが行われたりしたが、懸念されていた北朝鮮による更なる核やミサイルなどをちらつかせた危険な挑発行為は見られなかった。そして北朝鮮による日本人拉致問題を含めて日朝関係に具体的な進展がないまま昨年9/17の小泉首相による電撃的な北朝鮮・平壌訪問、金正日総書記との首脳会談、日朝平壌宣言署名から1年が経過した。
北朝鮮を訪問していたロシアのプリコフスキー極東管区大統領全権代表が9/9に金正日総書記と会談していたことが明らかに(9/11)なったり、ウィーンで開かれていた国際原子力機関(IAEA)の年次総会が北朝鮮に対して核兵器開発計画の放棄、核拡散防止条約(NPT)復帰(→保障措置(核査察)受け入れ)を求めるなどの内容の決議案を全会一致で採択(9/19)したり(→北朝鮮側は9/23に拒否)、国連総会の一般演説で川口順子外相が北朝鮮による核兵器開発やミサイルの問題に加えて日本人拉致問題に言及(9/24(日本時間))、川口外相の演説に北朝鮮大使が反論、さらに日本側が再反論(9/25(同))するなどの場面があったり、当初9月末にも行われる予定だった中国共産党ナンバー2の呉邦国・全国人民代表大会常務委員長の平壌訪問が北朝鮮側の事情で延期になったことが明らかに(9/25)なるなど、相変わらず具体的成果は見えないが北朝鮮による核兵器開発やミサイルの問題、そして拉致問題の平和的解決に向けた関係国や国際社会の努力は続いている。
北朝鮮の貨客船「万景峰(マンギョンボン)92」の新潟入港が再開(8/25)され、入港(8/25,9/4,9/16)するたびに繰り返される様々な抗議の動きと歓迎するごく一部の声を既存のマスコミが大々的に伝えていた。また万景峰号に対して国土交通省のポート・ステート・コントロール(PSC)、海保・入管・税関などの検査が実施され、いくつかの問題点が指摘された(→8/25にはPSCで船内設備に5カ所の不備が指摘され、うち4カ所は応急処置だけで北朝鮮に帰国してから修理する条件で出港。9/4入港時に残り4カ所の不備の改善を確認。9/16には9/5出港時に定員(220人)を大幅に上回る乗客(255人)を乗せた船舶安全法違反の疑いで捜索、9/17に船長を書類送検、など)。そして日本各地に入港する北朝鮮船籍の貨物船などに対する検査なども引き続き適切かつ適正に行われる方向になっている。
また大量破壊兵器関連物資などを積んだ不審船を公海上で臨検する日米仏豪などによる合同訓練がオーストラリア沖のサンゴ海で行われる(9/13)など、北朝鮮による麻薬密輸などの様々な非合法活動に対する国際社会の風当たりもさらに厳しくなってきている。ちなみに中国は密出入国や不法行為が相次ぐ北朝鮮との国境の警備を9月上旬に武装警察から人民解放軍(正規軍)に交代させたという。
何度も繰り返していることだが(→参考:2003/8/25号etc.)、北朝鮮は核兵器などの開発・保有・拡散を検証可能かつ不可逆的な方法で即時・完全に放棄しない限り破滅すると私は考えている。そして北朝鮮は米国と核兵器開発などの放棄と「体制保証」を交換することはできないが、核兵器などの開発・保有・拡散を検証可能かつ不可逆的な方法で即時・完全に放棄し、同時に「ならず者国家」や「マフィア」と見なされかねないような麻薬密輸や紙幣偽造などの各種の非合法活動と完全に決別すれば、米国などによる先制攻撃の可能性をゼロにすることは不可能ではないと私は考えている。また日本は北朝鮮に対して核兵器やミサイルなどの問題と共に日本人拉致問題を含めた北朝鮮の様々な人道上の問題が解消されない限り、国交正常化やその後の経済協力はあり得ないということを改めて明確に伝えておく必要がある。とにかく北朝鮮は一刻も早く目を覚まして国際社会の責任のある一員になろうとするべきである。
もしも北朝鮮が主張するように日朝平壌宣言で北朝鮮による日本人拉致問題が基本的に解決とか解決済みだということになるのだとしたら、日本としては即刻、日朝平壌宣言を破棄して改めて拉致や工作船潜入などを認めて謝罪した金正日総書記の言葉を明記した新宣言に署名させ直すことから始めなくてはならなくなる。また過去に日本が朝鮮半島の人たちにどんな残酷なことをしてきたとしてもそのことに対する責めをたとえ一部ではあっても北朝鮮による日本人拉致被害者らに負わせることは完全な間違いであるという当たり前のこともここでしっかりと確認しておかなければならない。さらに言えば、日本による植民地支配の「補償」を国交正常化後にしなくてはならないのは言うまでもないことだが、過去の清算はあくまでも日本が朝鮮半島の人たち一人ひとりに行うという性質を持つものであり、間違っても核兵器やミサイルの開発などを進めて自国内の多くの人たちを飢えさせたり人権蹂躙を行っている現在の金正日政権のような独裁政権に対して行うものではないということも改めてしっかりと確認しておく必要がある(→参考:2002/12/11号、2003/8/25号etc.)。だからこそ北朝鮮は一刻も早く目を覚まして国際社会の責任のある一員になろうとするべきなのである。そしてやはり北朝鮮問題はあくまでも国際社会と北朝鮮の間の問題以外の何物でもないのである(→参考:2003/3/10号etc.)。
北朝鮮には自分たちの主張が国際社会の中で本当に説得力があるのかということをもっと強く意識させる必要があると私は考えている。北朝鮮が現実をありのままに受け止めることができるようになるまでにはまだしばらく時間がかかるかもしれないが、国際社会では全く説得力を持たない自分たちの主張を受け入れない国は北朝鮮に対して「敵視政策」を取っているなどと考えることの愚かさぐらいはいくら何でもそのうち気付くだろう。北朝鮮は米国や日本などとの2国間交渉や話し合いでは自らの主張が受け入れられないことを一方的に相手国のせいにできるかもしれないが、第三者の存在を意識すれば北朝鮮も自分だけに都合の良い「独り相撲」を取ることは難しくなるはずである。北朝鮮に双方の主張を第三国が聞いたらどう思うかということをもっと強く意識させることができれば、いくら何でももう少しぐらいはまともな話し合いができるのではないかと私は考えている。詳細や真相はもちろん分からないわけだが、「友好国」の中国やロシアも6カ国協議の場で北朝鮮の主張を間近で聞いてひっくり返りそうになったのではないだろうか。
核兵器開発などの問題でも日本人拉致問題をはじめとする人道上の問題でも北朝鮮はなかなか誠意を具体的な行動の形では示そうとしない。北朝鮮問題の解決のためには体制転換が必要不可欠ではないかという主張がどんどん説得力を持ち始めているのも事実だが、やはり北朝鮮問題には継続と集中が必要だと私は思っている(→参考:2003/8/25号etc.)。北朝鮮が例によって例のごとく狂ったようなことを一方的に主張してきたり、あるいは逆に唐突に一見柔軟なことを提案してきたとしても、国際社会は決して過度には反応せず、「実際に北朝鮮が何をしたのか」ということだけに辛抱強く敏感であり続け、そして前向きなことでも挑発的なことでも北朝鮮の具体的な行動には何でも迅速に「断固たる処置」を含めた適切な反応を示さなければならないと私は考えている。特に北朝鮮のなんとか通信が伝える訳の分からない主張を展開する「談話」や「論説」などというものには顔をしかめることがあっても、絶対にまともに取り上げてはならないと私は思っている。なぜならそういう訳の分からない主張を展開する「談話」や「論説」をまともに取り上げてしまうと、問題解決のためには少なくとも北朝鮮の体制転換ぐらいは絶対に必要だという結論が誰の目にも明らかな形で出てしまい、北朝鮮問題の平和的な解決は不可能になってしまうからである。
これからも北朝鮮は核兵器開発などの状況を悪化させる挑発行為を行ってはならない。そして北朝鮮は早急に次回の6カ国協議開催に応じ、核兵器などの開発・保有・拡散を検証可能かつ不可逆的な方法で即時・完全に放棄して国際社会の責任のある一員になろうとする意思を具体的な行動の形で示すべきである。万一、核兵器やミサイルや人権問題などでの北朝鮮の国際社会に対する挑発行為が確認されれば、米国はもちろん、日本を含めた国際社会も毅然として「断固たる措置」を講じるだろう。そして国際社会の「断固たる措置」は中国やロシアとの国境線からも北朝鮮に対して非常に深刻な影響を及ぼすことだろう。
北朝鮮に国際社会を強く意識させるという意味でも6カ国協議の継続は望ましいと私は考えている。また6カ国協議を通じて国際社会の中で少なくとも日米韓中ロの5カ国は「北朝鮮の異常さ」を共同でありのままに受け止めることができるようになるということも北朝鮮問題の平和的解決のためには有効だと私は考えている。いくら女性応援団などを利用して韓国の人たちの同胞意識を刺激して味方に付けようとしたとしても、6カ国協議という彼らにとって「敵」と「味方」しかいない単純な「ミニ・国際社会」の中でさえも、自分たちの主張には全く説得力がなく、自分たちの主張に固執すればするほど孤立を深めるだけだと北朝鮮が気付いたときにようやく北朝鮮の核兵器開発問題は意味のある次のステップに進むことができるのかもしれないと私は考えている。くどいようだが、北朝鮮問題はあくまでも国際社会と北朝鮮の間の問題なのである。そして具体的成果はまだ出ていないが、北朝鮮の核兵器開発問題、日本人拉致問題をはじめとする人道上の問題を国際社会全体の問題と捉えて解決を目指していくという方針は基本的には間違ってはいないと私は考えている。
前回からのイラクなどその他の国際社会の動きについてもまとめておく。
イラク人各勢力による統治評議会によって選出された暫定内閣の新閣僚の就任式(9/3)、ブッシュ米大統領によるテレビ演説(→9/7(日本時間9/8午前)。イラクに多国籍軍を派遣するための国連安保理決議を求める考えなど)やブッシュ大統領やシラク大統領など各国首脳らの国連演説(9/23(日本時間9/24))、パウエル米国務長官によるイラク・バグダッド訪問(9/14)など、イラク復興に関連した様々な動きがあった。また詳細は不明だが、何らかの形でイラクに多国籍軍を派遣するための新たな国連安保理決議が採択される方向性になっているようである。何にしてもイラク国内は依然として非常に不安定な状態のままである。
米軍に対する待ち伏せ攻撃などの襲撃事件も相変わらず続発しているし、国連事務所付近で再び自爆テロが発生(9/22)したし、相次ぐ米軍による誤射に対するイラク人の反発も強まっている。さらにイラク中部のイスラム教シーア派の聖地・ナジャフのモスクで爆発が発生(8/29)、シーア派最大組織のイラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)の最高指導者のハキム師を含む80人以上が死亡したり、イラク統治評議会の女性メンバーがバグダッドの自宅前で銃撃されて重傷(9/20。9/25に死亡)になるなど、イラク人を標的にしたテロも目立ってきている。
またイラク支援のための自衛隊派遣などを現地調査する政府調査団が派遣(9/14)されるなど、日本によるイラク復興支援への具体的な貢献策が慎重に検討されている(→年内にも自衛隊派遣?、資金も拠出?)。
なおBBCが報道したイラクの大量破壊兵器問題をめぐる英政府の情報操作疑惑は、独立司法調査委でブレア首相が証言して情報操作疑惑を否定(8/28)し、首相側近のキャンベル報道戦略担当局長の辞任が発表(8/29)された後もなお波紋が広がっている。現時点(9/28)でも米英軍はイラク国内で大量破壊兵器を発見できておらず、イラク戦争前に大量破壊兵器が存在していたかどうかがさらに疑問視されるようになってきている。また相変わらずフセイン元大統領は行方不明のままだが、ジャブリ元国防相が米軍に投降(9/19)した。ちなみにブッシュ米大統領もブレア英首相も共に国内で支持率が大きく低下していると報じられている。
イスラエルとパレスチナの暴力の応酬は続き、米国などが主導した新中東和平プロセス、いわゆる「ロードマップ」は崩壊の危機に陥っている。パレスチナ自治政府のアッバス首相がアラファト議長に辞表を提出(9/6)、アラファト議長は後任にアハメド・クレイ氏を指名(9/8)、一方のイスラエルはアラファト議長を武力で追放する方針を決定(9/11)、国連安保理はアラファト議長排除を決めた閣議決定の撤回をイスラエルに求める決議案を米国の拒否権で否決(→9/16。ちなみに11カ国賛成、3カ国棄権)するなど、イスラエル-パレスチナ情勢は危険な状態から抜け出すための出口が全く見えない状態にある。
さらに国際原子力機関(IAEA)の理事会はイランに対して10月末を期限に核開発計画の全容解明などを求める決議を採択(→イランは反発、決議採択前に退席)し、イランの核開発問題に対する国際社会の批判・関心はさらに高まってきている。
あまり悲観的に見てばかりいてもいけないのかもしれないが、国際社会のあちこちで次から次へと新しい「危機」が生まれ、それぞれの「危機」がときどき「小爆発」を起こしながらも時間が経つにつれて危険度を増していくというような状況になってきているように私には見えてくる。何にしても数々の「危機」を前にして国際社会がやるべきことは既に見えているはずである。「将来世代を含む一般市民の生命・財産などの利益を守って幸福を追求していく」という「政治の究極目標」を共有した国家によって構成される国際社会の秩序を再構築・維持するために今までのいきさつや多少の意見の違いは保留して米国という強大な「力」と国連という「権威」を一体化させるために必要な努力を惜しむべきではない(→参考:2003/3/22号、2003/8/25号etc.)。まず国際社会は、イラクの問題も、イスラエルとパレスチナの問題も、アフガニスタンの問題も、その他の問題も、すべて「国際社会とそれぞれの間の問題」であるということを強く意識すべきである。そして国際社会はそれぞれの問題に対して協調して不退転の決意を持ってそれぞれの国家にふさわしい役割を具体的な行動の形で迅速に果たすべきだと私は考えている。
話をより具体的にすると、たとえどんなに米軍に対するテロや待ち伏せ攻撃が激しくなったとしても、米国は決してイラクから撤退するような無責任なことは許されず、国連や各国との完璧な連携に基づいて軍事的にも資金的にも最大の存在感を示しながらその圧倒的な能力と責任に応じた役割を果たさなければならないと私は考えている。イラク復興支援では国連と米国が共同ですべての権限と責任を分かち合うようにし、そして一日も早くイラク人自身による統治に移行できるように最大限の努力をするべきだと私は考えている。そしてもちろん米国はイスラエルとパレスチナの問題などその他の問題でも十分な関心を持ってその圧倒的な能力と責任に応じた役割を果たさなければならない。今は多くの人たちは米国の「先制攻撃」や単独行動のことばかりを問題視しているが、米国が国際社会に対する関心を完全に失って国内のことに専念する危険性も同時に高まっているのではないかと私は見ている。たとえどんなに結束したとしても、米国を排除したり米国にそっぽを向かれた国連や国際社会は秩序を破壊しようとする国家やテロリストには十分に対抗できないかなり無力な存在である。国連や国際社会にとっては米国の単独行動も非常に困るが、米国の国際社会に対する無関心も非常に困るはずなのである。何が何でも米国には国際社会と縁を切ることは絶対にできないということを理解してもらわなければならないし、国際社会の名の下に米国の圧倒的な能力と責任に応じた役割を果たし続けてもらわなければならないと私は考えている。
さて、小泉首相は所信表明演説(9/26)の中で「イラクに対しては、各国と緊密な連携・協力の下、人道・復興支援を進めます。現地情勢を踏まえ、自衛隊や文民の派遣など我が国にふさわしい貢献を行ってまいります」と述べていたが、イラク復興支援への日本の貢献についてもひとこと触れておく。現時点(9/28)では日本政府が自衛隊を派遣するのかどうかも資金を拠出するのかどうかも定かではないが、自衛隊派遣も資金拠出も前向きに検討しているのだからおそらくどちらも行うことになるのだろう。仮定の上に仮定を重ねるような状態なので自衛隊派遣などの詳細にはあえて立ち入らないが、とにかく自衛隊派遣や資金拠出をするのならば、イラク国内に日本の存在感よりも国際社会の存在感を示すために、誰の目にも明らかな形でイラクの人たちのためになることを、どんなことがあってもやり遂げる覚悟と能力を持ってやるべきだと私は考えている(→参考:2003/8/1号etc.)。そういう目的と覚悟と能力を持たずに自衛隊派遣などを行ったとしても日本のためにもイラクのためにも国際社会のためにもならないと私は考えている。現在のイラク情勢は非常に厳しいが、私は自衛隊派遣や資金拠出には必ずしも反対ではない。問題なのはその目的と覚悟と能力である。イラクに自衛隊を派遣したり資金拠出をするのならば、正しい目的と十分な能力を持って覚悟を決めてやらなければならないと私は考えている。中途半端は最悪である。
ちなみにブッシュ大統領は10/17に日本を訪れる予定である。「日本にふさわしい貢献」の中には米国を国際社会の名の下にその圧倒的な能力と責任に応じた役割を果たし続けるように説得することも含まれているはずだと私は考えている。
さて、いよいよ問題の日本の政治についてである。まずは前回からの動きをまとめる。
自民党総裁選が告示(9/8)され、小泉純一郎首相(総裁)、藤井孝男元運輸相、亀井静香前政調会長、高村正彦元外相の4氏が立候補し、小泉首相は政権公約を発表した(→(1)道路関係4公団民営化推進委の意見を基本的に尊重し、2005(平成17)年度から4公団を民営化する法案を来年(2004年)の通常国会に提出、(2)郵政事業(郵貯・簡保・郵便)を2007(平成19)年4月から民営化するため来年(2004年)秋頃までに民営化案をまとめて2005年に法案を国会に提出、(3)2010年代初頭にプライマリー・バランスの黒字化、など…。A4一枚。その他の多くのものは単なるスローガン(?)、あるいはいわゆる「ウイッシュ・リスト」。ちなみに小泉首相にとっては4回目の総裁選)。
派閥連合体である自民党内の派閥の「崩壊」や「流動化」とでも呼ぶべき現象が今回の総裁選を通じて見られた。小泉首相の再選を支持する青木幹雄参院幹事長らと小泉首相に対抗する候補擁立を主張する野中広務元幹事長らの対立が続いていた最大派閥の橋本派は、藤井孝男元運輸相の総裁選立候補を派閥としてではなく、「仲間として温かく送り出」す(橋本龍太郎元首相)ことにし、事実上の自主投票、分裂状態(9/2)になって青木参院幹事長は小泉首相の再選を条件付きで支持する考えを正式に表明(9/4)した(→再選後に小泉首相が議員中心の閣僚で構成される挙党一致の内閣に改造することを信じて支持、などと。そして郵政民営化や道路公団民営化には反対だという)。また堀内光雄総務会長が小泉首相の再選支持を表明(8/29)していた堀内派(宏池会)も独自候補擁立を断念、自主投票になった。
今回の総裁選では「場外乱闘」とでも呼ぶべき動きもいくつか見られた。自民党総裁選の最中に野中広務元幹事長が突然今季限りで政界を引退する意思を表明(9/9)し、小泉首相支持に回った橋本派の青木幹雄参院幹事長、村岡兼造元官房長官らを厳しく批判した。また日朝首脳会談の実現など対北朝鮮交渉で大きな役割を果たしてきた外務省の田中均外務審議官の自宅に時限式発火装置が仕掛けられていた(9/10)ことについて石原慎太郎東京都知事が亀井静香候補への応援演説の中で「爆弾を仕掛けられて当たり前の話」などと発言(9/10)して大きな波紋が広がった。
そして9/20に総裁選の投・開票(9/20)が行われ、小泉純一郎首相(総裁)が1回目の投票で国会議員票(357)と党員票(300)を加えた総数の過半数を獲得、大差で再選された(→小泉首相(議員194、党員205、計399)、亀井静香前政調会長(議員66、党員73、計139)、藤井孝男元運輸相(議員50、党員15、計65)、高村正彦外相(議員47、党員7、計54))。自民党総裁に再選された小泉首相は幹事長に安倍晋三(前)官房副長官を起用するなどの新役員人事を決定(9/21。副総裁に山崎拓(前)幹事長、政調会長には額賀福志郎(前)幹事長代理、堀内光雄総務会長、中川秀直国対委員長は留任)し、派閥による推薦・事前調整や当選回数の配慮などの全くない小泉流の組閣を行い、(第一次)小泉純一郎・第二次改造内閣が発足(→9/22。自民党内の反発の強かった竹中平蔵金融担当相兼経済・財政担当相、川口順子外相を留任。また谷垣禎一財務相、石原伸晃国土交通相ら若手を積極的に起用。17人のうち9人を新しく起用、横滑り・留任は8人(6閣僚を留任)。女性は3人、民間は2人。平均年齢は59.3歳)した。内閣改造を受けて小泉首相は記者会見し、「国民に信を問う時期はそろそろ来たのかなあ、という感じを率直に言って持っております」などと解散・総選挙を強く意識した発言をした。そして9/26に召集された第157臨時国会の初日に小泉首相が所信表明演説を行った。どうも永田町周辺ではテロ対策特措法を延長する改正案成立後のできるだけ早い時期、可能ならば衆参統一補欠選挙が告示(10/14)される前の10/10に衆院が解散され、11/9に総選挙の投・開票が行われることになっているようである。そのうち懐かしい名前を久しぶりに聞く機会が増えてくるのかもしれない。
総裁選関連以外でもいくつか重要な動きがあった。小泉首相は国立国際医療センターで人間ドック入り、S状結腸に良性ポリープを発見、直ちに切除(9/3)し、翌日から通常通り執務に復帰した(→なおこのとき塩川正十郎財務相は体調不良のために入院中、9/25に今季限りでの政界引退を表明)。そして小泉首相は来日している中国の呉邦国・全国人民代表大会常務委員長(→国会議長に相当)と会談(9/5)した。また自民党の鳩山邦夫代議士(比例東京ブロック選出、元民主党副代表)が次期総選挙で衆院東京18区(武蔵野市・小金井市・府中市)から立候補する考えを表明(9/2)、菅直人民主党代表と直接対決することが明らかになった(→参考:2003/6/1号etc.)。なお民主党は次期総選挙での政権公約(マニフェスト、第一次集約、各論部分)を発表(9/18)し、自由党との合併文書に調印(9/24)、合併手続きを完了させて総務省に届け出た(9/26)。
永田町関係の不祥事の「その後」でもいくつか動きがあった。あっせん収賄罪など4つの罪に問われた代議士の鈴木宗男被告(→参考:2002/6/22号etc.)が約1年2カ月ぶりに保釈(8/29)された(→東京地裁は4回目の申請、保釈保証金5000万円で保釈を認めた。なお437日間の拘置は代議士として戦後最長)。また秘書の問題で民主党を離党していた鹿野道彦代議士(→参考:2002/4/7(1)etc.)が民主党会派入り(9/24)した(→新民主党入りへ)。さらに土屋義彦前知事の辞職(→参考:2003/8/1号)に伴う埼玉県知事選の投・開票(8/31)が行われ、上田清司氏(前民主党代議士)が初当選した(→上田氏80万8092票、嶋津昭氏(自民県連推薦)45万1057票、浜田卓二郎氏(前参院議員)21万198票、板東真理子氏20万40389票、など。投票率は35.80%(→衆院選と同日選となった前回(2000年6月)は59.19%))。
永田町周辺は既に10/10解散、11/9投・開票という日程で猛烈な勢いで動き始めているが、「流れ解散」には断固反対の私はそうした動きを非常に冷ややかに見つめている。いま「流れ解散」しても小泉首相の改革を本気で推進する議員の数はほとんど増えないし、小泉首相に代わって確実に日本を改革する勢力が政権を獲得することもあり得ないし、将来世代に対して無責任な与野党の勘違いした政治家たちの数が減ることもあまり期待できないからである。政権交代や政権維持だけが目的の勘違いした与野党の政治家たちにはどうかは分からないが、多くの国民から見れば大きな変化は期待できないからいま解散・総選挙をやっても意味はないはずだと私は考えている。
今は「構造改革の種をまき、ようやく芽が出てきた」(9/26の小泉首相の所信表明演説)段階であり、「改革推進内閣」か「新世代育成内閣」かはよく分からないが、とにかく内閣改造をやってこれからも「構造改革路線を堅持し、改革の芽を大きな木に育てて」(同)いくなどと総選挙で訴えられても、多くの国民は前回参院選時のような強力な支持を与えることも「鉄槌」下すことも共にためらってしまうのではないのか。多くの国民にとってはまだ実感がなくてもようやく改革の「芽」が出てきたところまでは認められるのかもしれないが、なぜ今もまだ「芽」のままなのか、そして今後どのようにようやく出てきた「芽」を確実に木に育てていくのか、ということは非常に気になっているはずである。改革が今もまだ「芽」のままである理由は単純ではないが、誰の目にも明らかな大きな理由の一つは、自民党内には小泉首相の改革を本気で推進する議員の数が少なく、面従腹背の「協力勢力」が多少増えたとしても基本的には「抵抗勢力」ばかりだからである。そしてようやく出てきた「芽」を確実に木に育てていくためには、道路公団民営化、郵政民営化、プライマリー・バランスの黒字化などの小泉首相の総裁選での公約のすべてが自民党の政権公約により具体的な形で盛り込まれることも重要だが、何よりも小泉首相の改革を本気で推進する議員の数をどう増やしていくのかということを国民に説得力のある形で明確に示す必要があるはずである。「流れ解散」ではそういうことがすべてあいまいなまま台風のように選挙が通り過ぎていってしまう。
私は2001年7月の参院選の応援演説で小泉首相は「自民党に支持を与え、勝利を与えていただければ必ず自民党は小泉の改革を進めていきます。それで、この私の方針を進めることができなかったら次の衆議院選挙で自民党に鉄槌を下してください。まだ時間はあります。選挙でうそを言ったら次の選挙が待っている」などと言っていたことを改めて思い出している(→参考:2002/4/7(2)号)。どの世界でも「もしあのとき…」という話は禁句だが、同じ「流れ解散」でも前回参院選を小泉首相の改革を本気で推進する議員の数を激増させるために衆参同日選にしていたならばもしかすると今ごろは改革の「幼木」ぐらいにはなっていたかもしれない。小泉首相も新宿西口(9/9)などの自民党総裁選の街頭演説会では盛んに手を振って国民の反応を確かめていたから前回参院選時との違いを実感していることだろう。小泉首相がどう考えているのかは分からないが、人気の高い安倍晋三幹事長を起用して本当に「あの頃」に戻ることができるのか、仮に戻ることができたとしても本当にそれでいいのかは私には大いに疑問である。何にしても小泉首相はこの約2年6カ月をどのように「総括」するのか。
さて、以前(2003/8/1号)今のような状態ならば小泉首相がいよいよ自民党を「ぶっ壊す」必要が出てきた場合にしか解散に踏み切る動機は全くないなどと書いたが、実は派閥連合体としての自民党が壊れてきたことがハッキリした総裁選後から状況が微妙に変化し、客観的に見れば小泉首相が解散に踏み切る「動機」が急浮上してきたのである。それは何かと言うと、もしもこのまま流れに身を任せて解散・総選挙に突入すれば、かなりの高い確率で小泉首相が総理・総裁の座から引きずり降ろされる可能性を数%以下の非常に低い確率に抑え、しかも3年後まで数%以下のままで確定できるということである。今なら総裁選圧勝や内閣改造・新執行部人事などで内閣支持率も上昇してかなり高くなっているし、各種の経済指標も悪くないし、まだ改革も「芽」のままで挫折はしていないから、仮に議席を今よりも増やすことが期待できなかったとしても総選挙で自民党の議席が減る可能性は間違いなく非常に小さいのである。だいたい2000年6月の総選挙で自民党は都市部では大敗しているから、小泉首相・安倍幹事長の下での選挙ならば都市部では議席を前回よりも増やす可能性もそれなりに高い。つまりこのまま流れに任せて解散・総選挙に突入すれば、改革が劇的に進むようになるかもしれない可能性を代償にしてしまうが、今後3年間は少なくともダラダラと政権を維持する以上のことがほぼ確実にできるようになりそうなのである。
いま解散・総選挙をやっておけば総裁任期が切れるまでの3年間に総選挙をやらなくても全く何の問題もなくなる(→もちろん解散・総選挙をやってもいいわけだが…)。来年夏の参院選は自民党が歴史的な大敗北に終わった1998年7月の参院選で当選した議員たちが改選される選挙だから、よほどとんでもない不祥事が新たに2つぐらい発生しなければ前回の議席数よりも自民党の獲得議席数が下回るようなことはまずあり得ない。そして参院選の勝敗ラインも低いから自民党は「勝利」する可能性が実はかなり高い。万一参院選で自民党が「勝利」できなかったとしても、そんな敗北必至の状態でも本気で解散しかねない「変人」の小泉首相を相手にしては「抵抗勢力」も本気で引きずり降ろそうとすることなどできないだろう。そしてもしも何かをきっかけに発生した「小泉降ろし」に反撃して小泉首相が解散に踏み切る場合には99%以上の確率で魅力的で強力な新党が誕生、談合に失敗した今の野党は政権交代にも失敗し、仮に小泉首相を支える勢力が単独過半数を獲得できなくてもキャスチングボートを握った新党がかなり高い確率で改革を劇的に加速させることを条件に小泉首相と連立することになるだろう。
「抵抗勢力」からすればたとえ小泉首相の政策には反対であってももはや小泉首相を支持する以外の選択肢はないのかもしれない。数々の期待をすぐに裏切られることが分かっていても、時間が経てば経つほど小泉首相の方が力関係で優位に立つことが分かっていても、「高度な政治判断」で小泉首相を支持せざるを得ないのかもしれない。なぜなら小泉首相を支持している限りはほぼ確実に与党のままでいられるが、ひとたび具体的に反小泉の行動を起こせば政権から放り出され、しかも再び政権与党に戻ることができる可能性はほぼゼロになってしまうからである。もしも「抵抗勢力」と野党が反小泉・政権交代で手を組んだとしても多くの国民が支持するようなことはまずあり得ないだろう。もちろん予想もできないようなことも起こり得るわけだが、何にしても派閥連合体としての自民党が壊れてくるとそういう方向に向かって状況は流れていくのである。
将来のリスクなどをあらかじめ確定しておく金融などの「デリバティブ」ではないが、客観的に見れば永田町周辺では「小泉首相の政変デリバティブ」とでも呼べそうな取り引きが今ならば成立しそうな状況になってきているのである。あらかじめ政変のリスクを最小にしておき、後から時間をかけてゆっくりと野党などに手を突っ込むなどして「協力勢力」を増やして改革を徐々に加速していくという手法は決して正攻法とはいえないが、政治の世界では反則でもない。いずれにしても「政変デリバティブ」の取り引きを小泉首相が魅力的で信用できると考えるかどうかは誰にも分からないわけだが…。
くどいようだが、私は「流れ解散」には断固反対である。だが、どうしても10/10解散、11/9投・開票という流れを食い止めることができないのならば、真の意味での政策の一致と「選挙後のこと」を後回しにして結果的に国民を欺こうとしている与野党の政治家たちと彼らを手助けしているだけの勘違いした既存のマスコミによって繰り広げられている永田町周辺の騒動を冷ややかに見つめるのをやめ、「野党ジャーナリズム」として「政権公約」的なものを掲げて解散・総選挙を迎えなくてはならないと考えている(→参考:2002/6/10号、2003/2/11号、2003/8/1号、2003/8/25号etc.)。ちなみに題名の「永田町ワイドショー」は、勘違いした与野党の政治家たちと彼らを追っかけ彼らの主張をそのまま垂れ流すだけの完全に本質を見失った既存のマスコミによって繰り広げられる本物のワイドショーにも失礼なぐらいのバカバカしい騒動を皮肉る意味もあるのである。
これまでに何度も繰り返して永田町周辺の言葉の定義を問題にしてきているが(→参考:2002/11/3(2)号、2003/8/25号etc.)、やはり今回も問題にせざるを得ない。解散・総選挙への流れが強まっている現時点であえて問題にしなくてはならないのは、最近盛んに用いられている「政策論争」などという言葉である。勘違いした一部の野党の政治家たちが得意になって繰り返している「政策論争」などという言葉は、「政策」の実現可能性・妥当性・整合性や本当に政権担当能力があるのかどうかなどをしっかりと国民に見極めてもらう作業を完全に省略して「政策のたたき売り」「政策の安売り競争」に専念するということを意味しているようにしか私には聞こえない。そして既存のマスコミも「政策論争」が必要だという正論を検証なしにそのまま受け入れ「マニフェスト対決」などと騒いでも、結局は自民党総裁選と同様に「政策論争は深まらなかった」などというお決まりの文句で片付けてしまいそうな雰囲気である。小泉首相は公約であいまいなことを言っているだけだがこちらは具体的な数値を盛り込んだ政権公約を掲げてしかも候補者全員に署名させるとか、相手が道路公団民営化ならこちらは廃止して大都市以外は高速料金を無料にするとか、相手がせいぜい失業率5%程度ならこちらは4%台前半以下だとか…。郵政民営化やイラク問題はどうするのかをハッキリさせた上で政権公約に実現可能性・妥当性・整合性があると思うのならば「政策のたたき売り」「政策の安売り競争」に専念するのも勝手だが、それでも公約を実現する政治家たちの資質とか能力などといったことは厳しく問われなくてはならないはずである。そして公約を実現するという政治家たちの能力などを見極めるということと、政権公約の実現可能性・妥当性・整合性を見極めることや本当の意味での政策論争を行うことは決して矛盾しないはずである。「政策のたたき売り」「政策の安売り競争」に専念するような「政策論争」などをやる暇があったらそれぞれの政党、個々の政治家たちの能力などをしっかりと国民に見極めてもらう作業に限られた時間を費やすべきだと私は考えている。実現するかどうか大いに疑問である「絵に描いた餅」と本当に木に育つかどうかもよく分からない「改革の『芽』」を比較してどちらに投票するかを選べなどと言われても国民は当惑するだけだろう。まじめに考えれば考えるほどどちらかに投票するという考え方自体に大きな無理があると考えるようになってくるだろう。このままそれぞれの政党、個々の政治家たちの能力などが厳しく問われることもなく、また政権公約が実現されるであろう「選挙後のこと」についての踏み込んだ議論もなしに「流れ解散」に突入していくとするならば与野党の勘違いした政治家たちに国民は欺かれてしまうだけである(→参考:2003/8/25号)。
どういうわけか最近は「毒まんじゅう」という言葉が勘違いした与野党の政治家たちと既存のマスコミによって「独り歩き」させられている。「毒まんじゅう」という言葉が何のどういう状況を意味しているのかが私は冷静に考えれば考えるほどよく分からなくなっていくのだが、菅直人民主党代表のような一部の政治家たちにとってはなぜか「非常に分かりやすい」ために「毒まんじゅう政権」などと好んで使っているようである。「毒まんじゅう」という言葉を使う必然性がないように思われるのに、なぜ菅代表は「まんじゅう」にかかわっている人たちに対する配慮を欠いてまで「毒まんじゅう」という言葉にそんなにこだわるのだろうか。私にはそういう菅代表の「神経」が全く理解できない。まさか菅代表が「毒まんじゅう」という言葉の最初の発信源となった自民党の野中広務元幹事長ら「抵抗勢力」と政策を棚上げしてでも反小泉で連携する「高度な政治判断」を下してその意思を表明してみせたなどというわけでもあるまい。「毒まんじゅう」という「独り歩き」させられている言葉をあえて見逃さない聞き逃さないということからも、それぞれの政治家たちの能力などを厳しく問うことが真の意味での政策論争などにつながっていくということがよく分かるはずである。このまま「流れ解散」してしまうとしたら、日々繰り返される発言を検証することを通じてそれぞれの政治家たちの能力などを見極めたり、真の意味での政策論争につなげていくような十分な時間は残されないことになる。このままでは国民はいいかげんな政治家たちに欺かれずに正しい選択を行うための十分な時間が与えられないということになってしまう。くどいようだが、だから私は「流れ解散」には断固反対である。
最後に「野党ジャーナリズム」として「政権公約」的なものを掲げて今回の異常なほどの長文を締めくくることにする。
(1)政治家たちが「将来世代を含む一般市民の生命・財産などの利益を守って幸福を追求していく」という「政治の究極目標」に忠実であるかどうかを彼らの具体的な言動を厳しく検証することを通じて明らかにし、小泉純一郎首相が解散するまで「流れ解散」に断固反対し続けながら選挙で国民が正しい選択ができるように最大限の努力をします
(2)国民が将来世代に対して無責任な与野党の勘違いした政治家たちをしっかりと見抜き、次の総選挙でできるだけ多く淘汰することができるように最大限の努力をします
(3)時間的な制約などで次の総選挙で淘汰すべき政治家たちをすべて淘汰できないような場合でも、勘違いした「政界・わらしべ長者」が内閣総理大臣になることだけは断固阻止し、その次の総選挙までに確実に日本を改革する勢力が政権を獲得することを国民が選択できるような大きな変化を生み出すために最大限の努力をします
このまま「流れ解散」するのならば次回はどんなに早くても総選挙の投・開票後になるだろう。
私には「今という時代」における「爆発」の危険性は相変わらず高まり続けているように見える。前回(→2002/8/1号)問題にした永田町周辺のぶちキレ現象の一つである民主・自由の合併合意という「小爆発」に続いてバグダッドの国連事務所の爆弾テロ(8/19)、イスラエルとパレスチナ過激派による暴力の応酬の再開という形で「小爆発」が拡大し続けているのではないかと私は見ている。小さな政党を壊してより大きな政党にすることを繰り返していくだけで政権交代が実現できるなどという勘違いした「政界・わらしべ長者」気取りの政治家たちのような「妄想癖」があるわけではないが、私もあたかも姿が見えない強大な敵とたった一人で戦い続けているような気分になってきてしまう。勘違いした与野党の政治家たちや既存のマスコミなどの永田町周辺の人間たちに限らず、どうも危機意識は多くの一般の人たちにも乏しいようである。今現在は北朝鮮問題、イラクやパレスチナなどの問題、そしてもちろん日本の政治もかなり危険な状態にあるが、多くの人たちが危機意識を共有して今やるべきことをやっておきさえすれば上手く乗り切ることができるはずだと私は考えている。
今回も基本的には「今という時代」における「爆発」の危険性を訴えてきたこれまで(→参考:2003/6/1号、2003/6/29号etc.)と同様に「切り口」や具体例だけを変えて北朝鮮問題、イラクやパレスチナなどの問題、日本の政治について全く同じ主張を繰り返しているだけである。今回は「政治の究極目標は何か」ということに着目し、曖昧なまま独り歩きしているいくつかの言葉の意味を考えることを通じて今やるべき必要があることを訴えていくことにする。私は政治の究極目標とは「将来世代を含む一般市民の生命・財産などの利益を守って幸福を追求していくこと」だと考えている。
私は8/27から北京で開催される北朝鮮の核兵器開発問題を協議する6カ国協議の行方に非常に注目している。そして北朝鮮問題でも「小爆発」が起こってしまうことだけは何としてでも避けたいと思っている。今度こそ北朝鮮は不退転の決意で国際社会の責任のある一員になることを決断すべきである。まずは前回以降の北朝鮮関連の様々な動きをまとめておくことにする。
中国は北朝鮮の核兵器開発問題を協議する米中朝日韓ロの6カ国協議を8月末に開くことに北朝鮮側がほぼ同意していることを明らかに(8/9)した後、正式に6カ国協議を北京で8/27-8/29に開催することを発表(8/14)した。そして日米韓3カ国局長級非公式協議(8/14-8/15、ワシントン)、ロシア-北朝鮮・ロシア-韓国の外務次官級予備協議(8/14、モスクワ)、中韓外相会談(8/14、ソウル)、中国人民解放軍代表団の金正日総書記との会見(8/20、ピョンヤン)、日ロの事前協議(8/18、モスクワ)、日中の各レベルの会談(8/9-8/11)、川口順子外相と韓国の盧武鉉大統領(8/23)・尹永寛外交通商相(8/22)との会談など、6カ国協議を前に各国間の事前協議や接触なども実に活発に行われている。
韓国と北朝鮮の間にもいくつか活発な動きがあった。金大中前大統領時代に起きた対北朝鮮不正送金事件の中心人物の一人、韓国・現代グループの現代峨山の鄭夢憲会長(→公判中)がソウル市内の本社ビルから飛び降り自殺しているのが発見(8/4)されて波紋が広がった。また北朝鮮は韓国・大邱で開かれているユニバーシアード大会(8/21-8/31)への選手団と応援団の派遣を見合わせることを一時発表したが(8/18。8/15に反北朝鮮集会が開かれ、北朝鮮国旗や金正日総書記の肖像画などが焼かれたことを理由に)、韓国の盧武鉉大統領らの遺憾表明を受けて一転撤回することを発表(8/19)、北朝鮮の選手団と応援団(→例の女性応援団。大学生中心で前回よりも若くなっているという。参考:2002/10/15号)が韓国に到着(8/20)、各マスコミも一般の人たちも連日非常に大きく注目している。
6月に入港を中止した北朝鮮の貨客船「万景峰(マンギョンボン)92」が8/25朝に新潟港に入港する予定であることが明らかに(8/19)なり、日本側は様々な検査・警戒態勢を整えている。今年4月にドイツ検察当局がウラン濃縮に使用できるアルミニウム管を北朝鮮に密輸しようとしたとしてドイツ人3人を起訴(→なお北朝鮮向けの貨物を押収)したことが明らかに(8/16)なったが、世界的に北朝鮮絡みの各種密輸阻止に向けた動きも活発になってきているようである。
また小泉純一郎首相はドイツなど3カ国を訪問(→8/17-8/23まで)、ドイツのシュレーダー首相(8/18、なお小泉首相はシュレーダー首相と共にバイロイド音楽祭を訪れ、ワーグナーの歌劇「タンホイザー」を鑑賞)、ポーランドのミレル首相(8/19)、チェコ・プラハでシュピドラ首相(8/21)とそれぞれ会談、北朝鮮と国交のある3カ国から北朝鮮の核兵器開発問題や拉致問題での日本の立場に対する支持を取り付けた。靖国神社参拝(1/14)の影響が残る小泉首相に代わって(?)福田康夫官房長官が訪中し、胡錦涛国家主席と会談(8/9)、温家宝首相(8/10)と会談した(→福田長官は日中平和友好条約締結25周年記念レセプションにも出席)。一方の小泉純一郎首相は来日した中国の李肇星外相と会談(8/11)した(→李外相は川口順子外相とも会談)。そして中国・黒竜江省チチハル市の工事現場で発生した旧日本軍が遺棄したとみられる化学兵器(→マスタードガス(イペリッド))による事故(8/4)の被害と波紋が広がっている(→8/21にはついに死者も)。
その他にも、NGOが預かってきた北朝鮮による日本人拉致被害者の蓮池さん夫妻、地村さん夫妻、曽我ひとみさんの子供たちからの手紙や写真が政府の拉致支援者・家族支援室を通じて5人に届けられたり(8/2)、北朝鮮から脱出した元在日朝鮮人の家族らを支援していた日本人を含むNGOのメンバーらが上海で中国公安当局に身柄を拘束されていたことが明らかに(8/11)なったり、金正日総書記の義妹夫妻(→高英姫(コヨンヒ)夫人の妹夫妻)が1998年にスイス滞在中に米国大使館を通じて亡命していたなどと韓国の月刊誌が報じたり(8/18)、タイ・バンコクの日本大使館に駆け込んだ北朝鮮出身と見られる男女10人(7/31)が韓国に到着(8/23)する、など北朝鮮関連の報道は実に活発だった。
改めて繰り返すが(→参考:2003/6/29号etc.)、北朝鮮は核兵器などの開発・保有・拡散を検証可能かつ不可逆的な方法で即時・完全に放棄しない限り破滅すると私は考えている。北朝鮮は米国と核兵器開発などの放棄と「体制保証」を交換することはできないが、核兵器などの開発・保有・拡散を検証可能かつ不可逆的な方法で即時・完全に放棄し、同時に「ならず者国家」や「マフィア」と見なされかねないような麻薬密輸や紙幣偽造などの各種の非合法活動と完全に決別すれば、米国などによる先制攻撃の可能性をゼロにすることは不可能ではないと私は考えている。北朝鮮は一刻も早く目を覚まして国際社会の責任のある一員になろうとするべきである。あえて逆の言い方をするならば、6カ国協議で北朝鮮が核兵器開発を完全に放棄しなかったり、本気で国際社会の責任のある一員になろうとしているということを示さなければ少なくとも「小爆発」は起こってしまうだろう。
ここで独り歩きしている「体制保証」という言葉の意味をしっかりと確認しておく必要があると私は考えている。そして北朝鮮も国家なのだから「体制保証」とはいったい何を意味しているのかということを考える場合には「現代国家、すなわち政治の究極目標とは何か」ということを明らかにすることを避けては通れないはずである。くどいようだが、現代国家すなわち政治の究極目標とは「将来世代を含む一般市民の生命・財産などの利益を守って幸福を追求していくこと」であると私は考えている。そして少なくとも「政治の究極目標」を共有して責任を持った行動をすることを約束している国家の集まりが国際社会なのだと私は考えている。従ってたとえ一般市民の生命・財産などの利益を守って幸福を追求していくための十分な能力がなくても「政治の究極目標」に忠実であろうと努力している国家があるならば、「政治の究極目標」を共有している国際社会の他の国々は少なくともそういう国家を見殺しにすることはないし、おそらく可能な限りの手助けをしようとすることだろう。そういう意味でなら国際社会はある国家に対して「体制保証」をすることができるのかもしれない。しかし国際社会は、一般市民の生命・財産などの利益を守って幸福を追求していく十分な能力があってもなくても、とにかく「政治の究極目標」に忠実であろうとしていない国家に対して「体制保証」を与えるようなことは絶対にできないはずである。そんな理不尽で矛盾したことができるわけがない。
現在の北朝鮮の金正日体制は誰の目にも明らかに「政治の究極目標」に忠実であろうとはしていないはずである。もしも現在の北朝鮮の体制が「政治の究極目標」に忠実であろうとしているのならば、なぜいつまでも末端の人たち一人ひとりに対する人権蹂躙を行った上に彼らを飢えさせているのだろうか。しかも多くの一般市民を飢えさせておく一方でなぜ核兵器開発やミサイルなどの大量破壊兵器開発などに信じられないくらいの大量の資金を費やしているのか。現在の北朝鮮の体制は一般市民の生命・財産などの利益を守って幸福を追求していくこととは明らかに正反対のことをやっていると見なさざるを得ない。念のために言っておくが、北朝鮮による核兵器やミサイルなどの大量破壊兵器は開発・保有、ましてやそれらの拡散によって外貨を獲得するなどということは、他の国々の一般市民の安全を脅かす重大な脅威であるから、国際社会は容認することはできないはずである。
さらに現在の北朝鮮の体制が麻薬密輸や様々な非合法活動を容認したり、あるいは自ら積極的に関与したりしていることはもはや国際社会の常識になっている。そして麻薬密輸や様々な非合法活動によって得た外貨が金正日総書記を含めた一部の特権階級のためや核兵器開発などのために使われていることはもはや公然の秘密になっている。もしも現在の北朝鮮の体制が一般市民を飢えさせないためにやむを得ず麻薬密輸や紙幣偽造などの様々な非合法活動を行っているなどと強弁したとしても、麻薬などで他の国々の一般市民を食い物にしたり、様々な非合法活動で他の国々の社会を混乱させるようなことを国際社会は断じて許すことはできない。そもそもそういう類の非合法活動は国家ではなく「マフィア」などがやり、警察などが取り締まることである。どうして国際社会がそんな国家の「体制保証」をできるというのか。どう考えてもできるわけがあるまい。
あくまでも念のために言っておくが、北朝鮮には例の女性応援団しかいないなどとだけは間違っても勘違いすべきではない。当たり前すぎるくらい当たり前のことだが、北朝鮮には少なくとも日本人を含む拉致被害者とその家族たち、そして劣悪な状態での生活を強いられている元在日朝鮮人や日本人配偶者とその家族を含む多くの一般の人たちもいるということは絶対に忘れるべきではない。「体制保証」という言葉が北朝鮮国内の人たちの生命・財産などの利益を守って幸福を追求していくことに直結する意味で使われるのならば私も「体制保証」には必ずしも反対ではないが、そういうこととは全く逆に北朝鮮国内の末端の人たち一人ひとりに対する人権蹂躙や彼らを飢えさせることを容認することに少しでもつながる意味で使われるのならば私は「体制保証」には断固反対である。
大正デモクラシーの時代に政治学者の吉野作造氏が提唱した「民本主義」とか、中国の国家指導者だった故・ケ(トウ)小平元中央軍事委主席が「改革・解放」・社会主義市場経済導入時に言ったという「白い猫でも黒い猫でもネズミを捕まえてくれさえすれば良い猫」ではないが、将来世代を含む一般市民の生命・財産などの利益を守って幸福を追求していくという「政治の究極目標」を間違いなく共有してそのことが具体的な行動の形で示されているのならば、現在の北朝鮮の金正日体制であろうが「それ以外の別の体制」であろうが国際社会はどちらでも構わないはずだと私は考えている。
だからこそ北朝鮮は一刻も早く目を覚まして核兵器などの開発・保有・拡散を検証可能かつ不可逆的な方法で即時・完全に放棄し、同時に麻薬密輸や各種の非合法活動と完全に決別しなければならないのである。だからこそ北朝鮮は国内の末端の人たち一人ひとりに対する人権蹂躙をやめ、彼らを飢えさせず、そして彼らの利益を守りと彼らの幸福を実現するという「政治の究極目標」を国際社会の他の国々と共有すべきなのである。「政治の究極目標」が通用するという意味で北朝鮮は普通の国になるべきであり、そして一刻も早く国際社会の責任のある一員になるべきである。そうすること以外には現在の北朝鮮の体制が生き残る道はない。今回の6カ国協議を通じて北朝鮮、そして金正日総書記に何としてでもそのことだけは理解させなければならないと私は考えている。
日本は8/27から北京で開かれる6カ国協議で日本人拉致問題を含めた北朝鮮の様々な人道上の問題を各国が「政治の究極目標」に忠実であるべきとの観点から問題提起すべきである。そして北朝鮮の様々な人道上の問題は看過できない問題であるから必ず核兵器放棄と共に議題として取り上げられるべきであり、6カ国協議で具体的なことが話し合われないのならば当事者の「2国間」で必ず話し合われなければならないし、逆に「2国間」で具体的なことが話し合われないのならば、必ず6カ国全体で話し合われなければならないなどと強く主張すべきである。さもないと日本人拉致問題を含めた北朝鮮の様々な人道上の問題はもはや存在しないと国際社会が認めたなどと北朝鮮に誤ったシグナルを与えることにもなりかねない。日本としては6カ国協議の場を通じて北朝鮮に対して核兵器開発問題と共に日本人拉致問題を含めた北朝鮮の様々な人道上の問題が解消されない限り、国交正常化やその後の経済協力はあり得ないということを改めて明確に示し、さらに「このままでは日朝平壌宣言を破棄せざるを得なくなる」と強く警告して北朝鮮が日本と急いで本気で話し合わなくてはならない積極的な動機を作り出す必要があると私は考えている。
ちなみに「2国間」は日本と北朝鮮の間だけに限らない。今度の6カ国協議では北朝鮮の様々な人道上の問題の解決のためにいろいろな「2国間」が話し合う場があってもいいはずだと私は考えている。例えば、日本と中国が「2国間」で中国国内にいる「日本人を名乗る国籍不明者」を日本もしくは日本を通じて韓国に引き渡すためにどのような協力ができるかを話し合ったり、中国と北朝鮮が「2国間」で人道に反する取り扱いが行われる恐れがある場合には密入国者を相手国に送還しなくてもいいように「協定」を改正したり、あるいは受け入れる第三国がある場合には密入国者の亡命を認めることができるようにするために話し合うようなことがあってもいいはずである。日本はこうした別の形での「2国間」協議の実現にも積極的に動くべきである。
ちなみに旧日本軍が中国で遺棄した化学兵器の問題では「将来世代を含む一般市民の生命・財産などの利益を守って幸福を追求していく」という大局的な判断から日本と中国の将来を重視した前例にこだわらない小泉首相の大胆な決断を私は期待している。
6カ国協議の場でも「2国間」協議の場でも、日本は北朝鮮に対してすべての拉致被害者やその家族を即刻日本に帰すように強く要求すべきである。さらに北朝鮮に対して国内にいるその他のすべての日本人と日本にゆかりのある人たちの人権などを守るために「在北朝鮮日本人総連合会」(仮称、略称:「日本総連」)を設立し、「日本総連」の独自の検証手段とセットにした食糧支援を含めた北朝鮮国内での自由な活動を即刻認めるように強く要求すべき(→参考:2002/12/11号etc.)であると私は考えている。冷静に考えれば考えるほど、北朝鮮による拉致問題の完全解決はかなり困難なことなのかもしれないが、やはり北朝鮮問題には継続と集中が必要だと私は思っている(→参考:2002/10/15号)。もしも日本国内での朝鮮総連の活動程度まで「日本総連」の自由な活動が認められ、かつ拉致問題での北朝鮮側の真摯な協力が保証されるのならば、拉致問題にある程度の区切りぐらいは付けることができるのかもしれないと私は思い始めている。
末端の一人ひとりに食糧が行き渡らないような食糧支援は有害無益だと私も考えているが、だからと言って人道上の問題を看過するようなことはできない。北朝鮮で人道上の問題を背景にした突然「崩壊」が起こらなかったとしても、このままでは最悪の場合には飢餓という形を利用して北朝鮮が金正日体制に不満を持つ人たちから順番に「粛正」を行うことを黙認するということにもなりかねない。今だからこそあえて日本人が北朝鮮各地でお粥や雑炊などを作りながら日本人らを探すための活動などを行うことに全面的な協力をするように北朝鮮側に強く要求すべきだと私は考えている(→参考:2003/6/1号etc.)。
イラク戦争後のイラク国内の治安状態はさらに悪化している。バグダッドのヨルダン大使館前で車が爆発(8/7)して多数の死傷者が出たり、北部のキルクーク油田からトルコに原油を輸送するパイプラインが爆破(8/15)されたり、南部のバスラでガソリン不足や停電などへの不満のために市民の暴動(8/9-8/10)が続発したり、バグダッドで水道管が爆破(?)されて破裂(8/17)するなどした。そしてそんな中、バグダッドの国連事務所前で止まっていたミキサー車が爆発し(8/19)、デメロ国連事務総長特別代表を含む20人以上が死亡、100人以上が負傷して世界中に大きな衝撃と波紋が広がっている。
相変わらずフセイン元大統領の行方は不明のままだが、米軍はラマダン元副大統領(8/19)、イラク国内のクルド人に化学兵器を使用して「ケミカル・アリ」の異名を持つアリ・ハッサン・アル・マジド元国防相(8/21)を拘束したと発表した。そしていまだに発見されない大量破壊兵器の問題でも相変わらず波紋が広がっている。BBCが報道したイラクの大量破壊兵器問題をめぐる英政府の情報操作疑惑をめぐって政府から情報源として名指しされた英科学者のデビッド・ケリー博士が自殺した事件を調査している独立司法調査委員会で博士を取材したBBC記者が証言、取材テープを公表(8/13)した。
なおイラク支援のためにイタリア-ヨルダン間で物資の輸送を行っていた自衛隊のC130輸送機2機が任務を終えて帰還(8/17)した。イラクの治安状態が当初の予想とは全く逆に悪化する一方であることを受けて現時点(8/24)ではイラク支援法に基づく年内の自衛隊派遣は非常に困難な情勢になっている。
さらにイラク周辺でも危険な動きが目立ってきている。イスラエルはエルサレムの路線バスでパレスチナ過激派による自爆テロが発生(8/20)、20人が死亡したことを受けてパレスチナ自治区に侵攻して過激派最高幹部の暗殺を含めた掃討作戦を行い(8/21)、一方の過激派はイスラエルとの停戦合意の破棄を宣言(8/21)、米国などが進めて始動したばかりの新中東和平プロセス(6/4)は再び崩壊の危機に直面している。またアフガニスタンではタリバンの残存勢力と見られる武装勢力が警察署などを繰り返し襲撃している。指摘され続けているカブール周辺だけに展開している国際治安支援部隊(ISAF)の全国展開、地方軍閥の影響力を排除した暫定政府の下での中央集権化などという懸案も実現の見通しは立っていないようである。
イラクやパレスチナの問題で「小爆発」が発生している今の危機的な状態でやるべきことはもう既に明らかになっていると私は思っている。犯人や彼らの狙いなどの詳細は不明でも、今この時点でやらなければならないことだけはハッキリしている。「将来世代を含む一般市民の生命・財産などの利益を守って幸福を追求していく」という「政治の究極目標」を共有した国家によって構成される国際社会の秩序を再構築・維持するために今までのいきさつや多少の意見の違いはひとまず保留して米国という強大な「力」と国連という「権威」を一体化させることだと私は考えている(→参考:2003/3/22号etc.)。「力」と「権威」が一体化することをテロリストが喜ばないのはほぼ間違いない。イラクやパレスチナの問題で「小爆発」が発生してしまったことを「潮時」にしてイラク復興支援では国連と米国が共同ですべての権限と責任を分かち合うようにし、そして一日も早くイラク人自身による統治に移行できるように最大限の努力をするという方向に急いで舵を切る必要があると私は考えている。米国や国連を含めた国際社会の決断に私は期待している。もしもこのまま「力」と「権威」が一体化しない状態が続くのならば、イラク戦争はイラクに破壊・混乱・分裂・略奪などの「不幸」しかもたらさないかもしれない。間違ってもイラクをかつてのアフガニスタンのようにしてはならないはずである。イスラエルとパレスチナの問題も、アフガニスタンの問題も、そしてその他の看過できない問題も、「力」と「権威」が一体化しない状態では坂道を転げ落ちるように悪化していくだけのはずである。
なんとか「小爆発」を「小爆発」だけで止めたいものだと私は考えている。そのためには今こそ国際社会は「力」と「権威」を一体化させて国際社会の秩序を守るために「小異を捨てて大同につく」べきである。ちなみに「小異を残して…」などという日本語はなく、勘違いした「政界・わらしべ長者」気取りの政治家たち以外には永田町周辺のごく一部にしか通用しない。
夏休み中の永田町周辺にもそれなりの動きがあった。小泉首相が自民党総裁選に敗北した場合の解散に含みを持たせる発言(8/7)をしたり、訪問中のポーランドで改めてキッパリと政策転換を否定しながらも自民党総裁再選後の内閣改造では総裁選で対立しても再選後に改革に協力するのならば適材を閣僚に起用するなどという考えを示す(8/20)など、相変わらず永田町周辺では自民党総裁選や解散・総選挙に向けた動きが活発になっている。
そして不祥事でも動きがあった。東京地検は政策秘書の給与を国からだまし取った詐欺罪で社民党の元代議士の辻元清美容疑者と土井たか子党首・元秘書の五島昌子容疑者の2人を起訴(8/8)した(→辻元被告(1000万円)と五島被告(700万円)はそれぞれ保釈金を納めて保釈、辻元被告の秘書らは不起訴処分に)。また秘書給与疑惑で告発されていた田中真紀子元代議士(元外相)(→参考:2002/8/14号etc.)は不起訴処分になる見通し(8/5)だという。さらに存在しないはずの財務諸表のファイルが発見されたなどと藤井治芳総裁らが記者会見で発表(8/8)するなど、相変わらず日本道路公団が債務超過の財務諸表を作成しながら隠ぺいしていたなどという疑惑の波紋も広がっている。
相変わらず解散・総選挙があるのかどうかはよく分からないままだが、自民党総裁選絡みの動きにしても、誤差程度の支持率上昇しかもたらさなかった民主党と自由党の合併絡みの動きにしても、不祥事などその他の問題にしても、今の永田町周辺には無意味でくだらないことばかりが目立っている。
ちなみに永田町周辺の人間たち、特に民主党など野党の政治家たちの言う「政権交代」とはいったい何を意味しているのだろうか。彼らが言う「政権交代」という言葉には少なくとも現時点では「くたばれ自民党」という以外の意味は何一つ含まれていないと断言することができる。現時点では「政権交代」とは勘違いした強い自民党コンプレックス(→参考:2002/9/29号etc.)だけに基づく内容のない単なる空騒ぎのようなことでしかない。もしかしたら現時点では多くの国民は真の意味での政権交代よりもむしろ自民党を「ぶっ壊す」ことの方を望んでいるのかもしれないが、「政権交代」が「くたばれ自民党」程度でいいのならば大多数の国民は新民主党よりもはるかに実現可能性が高い小泉首相個人に「政権交代」を期待するはずである。
新民主党が政権公約(→マニフェスト)で政権獲得時に実現を約束する具体的な政策を示したとしても、主義・主張が完全にバラバラな政党であり続ける限り日本をどのような国にするのかという国家像を国民に分かりやすい形で示すことは不可能である。そして仮に新民主党が国家像をきちんと示しているなどと強弁したとしても、その国家像が自民党の示す国家像、特に小泉首相や改革志向の議員たちが考える国家像とどう違うのかということはきっと国民には最後までよく分からないままのはずである。
もしも小泉首相が自民党総裁選で郵政事業民営化と道路公団民営化など最小限に絞った政権公約を掲げて再選され、さらに一度掲げた公約は決して取り下げることなく、新民主党が掲げた政権公約のうちで良いものも含めて新たにいくつかの政権公約を追加していくという形で総選挙までに何段階かに分けて政権公約をまとめていったとしたら、新民主党はかなり高い確率で政権交代に失敗して「空中分解」することになるのではないか。そして万一、小泉首相が再選されない場合など何らかの形で小泉首相らと「抵抗勢力」とが決別するようなことがあったとしても、新民主党は「空中分解」の危機に陥るはずである。そのときに「抵抗勢力」と組んであくまでも「くたばれ自民党」の「政権交代」を徹底して小泉首相を追い詰めてさらに政策的に訳の分からない集団になっていくのか、それとも政策の一致を重視した真の意味での政権交代を実現する好機だと気付いて政策的に小泉首相と近い多くの政治家たちと何が何でも「くたばれ自民党」の政治家たちに再び分裂していくのか…。このまま勘違いした「政界・わらしべ長者」気取りの政治家たちが悪ふざけしてはしゃいでいるだけの状態が続くのならば、新民主党の政治家たちにとってはかなり厳しい踏み絵になるはずである。
あくまでも本当に示すことができるのならばという条件付きでの話だが、新民主党は国民に分かりやすく説得力のある形で政権交代後に日本をどのような国にしていくのかを示すべきである。地方主権だとか、政治主導だとか、官僚依存体質からの脱却だとか、税金の無駄遣いをなくすだとか…、そんなことなら自民党でも反対しないはずだし、そもそも新民主党ならば実現できることだとも国民は全く思っていないはずである。このまま「政権交代」の意味するものが「くたばれ自民党」程度のものであり続けるのならば真の意味の政権交代は99%以上の確率で起こらないだろう。やはり「政権交代だけが目的の勢力」と「政権維持だけが目的の勢力」の二者択一を国民に強いることには大きな無理がある。「新党」の足音がどんどん大きくなってくる。そして「新党」が最後の約1%の政権交代の可能性を独り占めすることになるだろう。
政権公約に盛り込んだ具体的な政策をその政党が本当に実現することができそうかということを検証することも必要だが、政権公約に盛り込んだ具体的な政策が日本をどのような国にすることにつながり、そして将来世代を含む一般市民の生命・財産などの利益を守って幸福を追求していくことに本当につながっていくのかということも同時に問題にされなくてはならないはずである。今の永田町周辺では相変わらず政権公約が実現されるであろう「選挙後のこと」についての踏み込んだ議論はほとんどないし、それどころかそもそもある公約が政権公約に盛り込まれることが本当に妥当なのかということすらもあまり問題にされていない。そういう検証抜きの政権公約騒動はくだらないの一言に尽きる。
くどいようだが、「政治の究極目標」とは「将来世代を含む一般市民の生命・財産などの利益を守って幸福を追求していくこと」だと私は考えている。差し迫った「現実」を冷静に捉えて「本質」を見極めて真の意味で問題解決に寄与する具体的な行動をしていくことこそが「本物の政治家たち」に求められる役割であり、そうした観点から彼らの行動を分析・監視していくのが「ジャーナリズム」に求められる役割などと以前に述べたことがあるが(→参考:2003/3/22号)、今の与野党の政治家たちの行動が「政治の究極目標」に忠実であるかどうかを真剣に検証してみる必要があると私は考えている。そして彼らの行動が「政治の究極目標」に忠実かどうかを検証しようとすればするほど、永田町周辺の人間たちが使っている「政権交代」という言葉の意味が正しい日本語として通用するのかどうかということがどんどん分からなくなってくるのである。
「政治の究極目標」を見失って真の意味での政策の一致と「選挙後のこと」を後回しにして結果的に国民を欺こうとしている菅直人民主党代表や彼を首相候補として支持しているような政治家たち、「抵抗勢力」を含めたその他の将来に対して無責任な政治家たちや無能な政治家たちなどを永田町周辺から追放するための言論による闘争を継続する。
第156通常国会が閉会(7/28)した。相変わらず「今という時代」における「爆発」の危険度は高まり続けている。この約1カ月の間も論じるに値すると心から思えるような前向きな出来事は日本の政治でも国際社会でも見られなかった。それどころか永田町周辺では民主党と自由党の合併の基本合意(7/23)とそれに関連する一連の動きという形でついに「小爆発」が発生したようである。
一般論としては、今までに何度無意味な政党の離合集散が繰り返されてきたとしても、多くの国民から理解されるような形で政策の一致に基づく政界再編が行われるのならばそうした動きを必ずしも否定すべきではないと考えてはいるのだが、民主党と自由党の合併とそれに関連する永田町周辺の動きを私は完全に否定的に捉えざるを得ない。今のような形での民主党と自由党の合併に大きな意味はないと私は見ている。もしも大きな意味があるとするならば日本の政治に壊滅的な打撃を与える危険な「爆発」を引き起こす可能性が高いという否定的な意味でだけではないかと私は見ている。何度も繰り返しているが(→参考:2003/6/29号etc.)、今のような形での民主党と自由党の合併や野党共闘などのように目先の選挙や政権交代のことだけを考えて政策の一致などをすべて後回しにして既成の野党で「談合」し、事実上の細川連立政権の再現を目指したとしても政権交代はまず不可能である。政策の一致を後回しにしたいかなる戦略も敗北と破滅などの否定的な結果しか導き出さないということは歴史が示していることなのである。
当事者の民主党や自由党の政治家たちはもちろんのこと、それ以外の与野党の政治家たち、そして既存のマスコミなどが目先のことばかりにとらわれて完全に本質を見失って民主・自由合併に大きな意味があるかのように勘違いしているのを見ているとついに永田町周辺はぶちキレてしまったのかというような悲観的な心境にもなってくる。永田町周辺に限らず、本質をしっかりと見極めた上で「次の次」をも見据えて「次」に向けて動き始めることが今まさに必要とされていることのはずである。選挙目当てなのか政権目当てなのかはよく分からないが、後先のこと、特に「選挙後のこと」すらも全く考えずに目先の選挙のことだけを考えていればいいというわけでは断じてないはずである。今回は「小爆発」を起こして優先順位が急上昇している日本の政治を中心に論じることにする。
まずこの約1カ月間の日本の政治に関する動きについて簡単に触れておくことにする。
衆院通過(7/4)後に内閣不信任決議案の否決(7/25)などの野党側の抵抗で多少の混乱はあったもののイラク支援法は会期内に成立(7/26)、第156通常国会は閉会(7/28)した。
小泉純一郎首相が自民党総裁選(9/20投・開票)で政権公約(→マニフェスト)を示して総裁に再選された場合には総選挙時の自民党の政権公約になるなどの考えを示した(→中央公論2003年8月号)ことが明らかに(7/8)なって自民党内などに波紋を広げた。その後も小泉首相は同趣旨の発言を繰り返し、さらに通常国会閉会を受けた記者会見(7/29)でも道路公団民営化や2007年4月からの郵政事業民営化を政権公約に盛り込む考えを示すなど内容はトーンダウンしておらず、総裁選を前にして永田町周辺に大きな衝撃と激しい反発を引き起こしている。なお小泉首相は来日したオーストラリアのハワード首相 (7/16)、ブレア英首相(7/19)と会談した。
解散・総選挙が間近に迫っているという共通認識の下、通常国会閉会直前に唐突に民主党と自由党が9月末までに合併することで基本合意(7/23)し(→民主党の菅直人代表と自由党の小沢一郎党首が会談、民主党が存続して自由党が解党する形で9月末までに合併、代表は菅氏で執行部も民主執行部、規約や政策なども民主のものを採用、小選挙区候補は前回総選挙での惜敗率が高い候補を優先、などの内容の合意文書に署名)、一度白紙(5/26)に戻った両党の合流構想は事実上民主党が自由党を吸収合併する形で実現に向けて動き出し、さらに社民党との選挙協力も積極的に進められる方向性になっている。
永田町周辺の不祥事は相変わらずである。埼玉県の土屋義彦知事(元参議院議長)の資金管理団体の収支報告書に虚偽の記載をしたとして東京地検特捜部が知事の長女の市川桃子容疑者らを政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで逮捕 (7/10)、土屋知事は辞意を表明(7/12)、辞職(7/18)した。また政策秘書の給与を国からだまし取った詐欺の疑いで警視庁が社民党の辻元清美元代議士と土井たか子党首の元秘書の五島昌子容疑者らを逮捕(7/18)、事件発覚から1年以上が経過して社民党の秘書給与疑惑にようやくメスが入ることになった(→参考:2002/3/31号、2002/4/29号.etc)。さらに日本道路公団が債務超過であることを示す財務諸表を作成しながら隠ぺいしていた疑惑が内部告発(→文芸春秋2003年8月号)で浮上して藤井治芳総裁らの責任問題に発展していることなどを含めて道路公団関連の数々の問題で大きな波紋が広がっている。ここではその他の疑惑や不祥事等を含めて個別具体的なことにはあえて触れないが、残念ながらどうやらこれからも永田町周辺では疑惑や不祥事で懐かしい名前や新しい名前を聞かされ続けることになりそうである。
最近の永田町周辺の動きを受けて次回の総選挙は自民党と民主党の間の政権公約(マニフェスト)対決になるだろうと予想し、そういう対決自体に何か大きな意味があるかのようなことを勘違いした与野党の政治家たちや既存のマスコミなどの永田町周辺の人間たちが言っているようだが、彼らは普通の意味での後先のことはもちろんのこと、選挙直後のことすらも全く考えていないようである。繰り返すが、今のような形での民主党と自由党の合併にしても、野党共闘にしても、失敗や敗北などの否定的な結果がやる前から既に見えていると私は考えている。
もちろん曖昧なスローガンのような「公約」よりもはるかに公約違反を検証しやすい具体的な形の「政権公約」を選挙で各党が掲げるようになった方が有権者にとっては望ましいことは確かである。だが、有権者は政権公約を見比べるだけではなく、政権公約を掲げている政党や政治家たちの能力と「本音」を見極めることができて初めて自分が投票する政党や政治家たちを決めることができるはずだという当たり前すぎるくらい当たり前のことも絶対に忘れるべきではない。もしも政権公約を見比べるだけで投票する政党などを決めることができるなどと言い張るのならば、複数の政党がほとんど同じ内容の政権公約を掲げた場合にはいったいどのように的確に判断するのかということを考えてみればすぐにわかることのはずである。たとえどんなに具体的に記述したとしても政権公約は「メニュー」とか「絵に描いた餅」のようなものにすぎないのである。政権公約の内容がどうのこうのとか、政権公約を掲げた対決がどうのこうのなどと大騒ぎしたければ勝手にすればいいが、今まさに検証が必要とされているのは「選挙後のこと」のはずである。
例えば、「選挙に勝った場合に政権公約を具体的にどのように実現していくのか」「選挙で負けた場合に政権公約はすべて無効になるのか」「何らかの予期せぬ事態が発生して政権公約の実現が不可能になったり、あるいは困難になった場合にはどうするのか」「もしも政権公約に優先順位を付けるとするのならばどんな理由でどのように付けるのか」などという「選挙後のこと」がいくら何でもそろそろ問題にされなくてはならないはずである。政権公約の話でも、「選挙後のこと」を含めた本質をしっかりと見極めて「次の次」をも見据えた「次」の行動が必要になるなはずなのだが、どういうわけか今の永田町周辺にはそういう類のことが完全に欠けているようである。
「選挙後のこと」を考えれば考えるほど、今のような形での民主党と自由党の合併を否定的に捉えざるを得なくなってくる。ただでさえとても一つの政党とは思えないような主義・主張が完全にバラバラな民主党にさらに自由党という別の政党を政策の一致を後回しにしてただ単にくっつけるだけという今のようなやり方では、もしも選挙に勝って政権交代を実現した場合でも選挙後に政策的な矛盾などが一気に吹き出して具体的にどんなことを実行しようとしても党内や政権内が「抵抗勢力」だらけでどうしようもなくなってすぐに空中分解して分裂し、選挙の洗礼を受けずに自社さ連立政権が発足したようなある意味で国民に対する「クーデター」のような事態が再び繰り返されるだけの話である。そしてもしも選挙で負けてしまった場合には「談合」は即座に解消されてその時点ですぐに分裂するだけの話である。このままでは民主党と自由党が合併してどんな立派な政権公約を掲げたとしても結局は国民を欺くだけである。
さらに民主党と自由党の合併はやり方に加えてタイミングも動機も最悪であり、政治センスのかけらもないと私は見ている。今あえてこのような形で合併に踏み切った菅直人民主党代表らのような政治家たちの見識を私は強く疑わざるを得ない。この時期にあえて両党が合併することによって結果的に自民党内の結束を高める効果を与えるという意味で小泉首相の自民党総裁選での再選を後押しする方向に「追い風」を吹かせ、そして与党が不利にならないように両党の合併の効果を十分に薄れさせるまで待つという意味で解散時期を遅らせる方向に「追い風」を吹かせ、しかも既成の野党による「談合」によって政権交代だけが目的の勢力を作って国民を失望させたという意味で与党側の政権維持のハードルを下げてしまった菅代表らのような政治家たちの責任と能力は厳しく問われてしかるべきだと私は考えている。
今のような状態では小泉首相が自民党総裁に再選されないとか、再選されてもいわゆる「抵抗勢力」が小泉首相の政策実現に全く協力しないとか断固阻止するとか、あるいは「抵抗勢力」がついに本気で小泉降ろしに踏み切ったなどという、要するに小泉首相がいよいよ自民党を「ぶっ壊す」必要が出てきた場合にしか解散に踏み切る動機は全くない。逆に小泉首相は解散をせずに待てば待つほど今の野党の政治家たちから協力が得られることも含めて自らの政策を実現しやすくなっていくはずである。そして小泉首相の政策が実現しやすくなれば「抵抗勢力」の息の根を止めることも簡単になっていくはずである。このまま今のような流れが続くのならば、いくら「解散風」が強まったとしても結果的に衆参同日選までズルズルと流れていってしまう可能性が非常に高いと私は見ている。
壊れ方は大きく異なるだろうが、このままの状態が続くのならば小泉首相が再選されても再選されなくても自民党はほぼ確実に壊れていくことにはなるのだろう。そして自民党が壊れていくということは「抵抗勢力」の破滅へとつながっていく。「抵抗勢力」が自民党が壊れていくことを受け入れて生き残りを目指して本気で小泉首相と戦う覚悟などがあるというのならば、もしかしたら生き残りの道も開けてくるのかもしれないが、政権維持だけを目指しているとしか思えない今の「抵抗勢力」にはそんな前向きな姿勢は全く感じられない。ちょっと頑張れば野党には勝てるじゃないか、野党に負けなければそれでいいじゃないかという「よどんだ空気」が漂っている。
そもそも多くの賢明な国民は本当に「政権維持だけを目的とした勢力」と「政権交代だけを目的とした勢力」の二者択一を認めるのだろうか。選挙がそういう不毛な二者択一の状態になりそうになれば、ほぼ間違いなく何らかの形で有力な「新党」が結成されて既成政党による「談合」は簡単に吹き飛ばされてしまうだろう。「新党」に安易に期待するのは間違いだと考えているので基本的には「新党」を歓迎しないが、例えば政策の一致を非常に重視した「新党」が自らの政策とそれぞれの政治家たちの政策との共通度に基づいて政治家たちを事前にランク付けし、協力できる政治家たちと排除すべき政治家たちをハッキリと選別し、その上で「非常に魅力的な政治家である党首」が菅民主党代表(あるいは小泉首相)を小選挙区で落選させるという形で打ち負かして当選してくるのならば、政策の一致に基づいた政界再編を期待することができるので私はそういう「新党」の誕生を容認しても構わないと考え始めている。
さすがに北朝鮮問題について全く書かないというわけにはいかない。まずこの約1カ月間の北朝鮮問題に関する主な動きについて簡単に触れておくことにする。
中国を公式訪問した韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が北京で胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席と会談(7/7)、中韓両国は共同声明を発表(7/8)した。また韓国と北朝鮮による南北閣僚級会談がソウルで行われ、共同報道文を発表して終了(7/12)した。なお南北軍事境界線に沿った非武装地帯で北朝鮮側からの発砲に韓国側が応戦して一時銃撃戦になった(7/17)。
北朝鮮の核兵器開発問題をめぐる米中両国の動きも非常に活発だった。中国政府の特使として北朝鮮を訪問した戴秉国外務次官が金正日総書記と会談(7/14→胡錦涛国家主席の親書を伝達)、その後に訪米してチェイニー副大統領、パウエル国務長官らと会談(7/19)した。そして米国のボルトン国務次官が中国を訪問、張業遂外務次官と会談(7/28)した(→国務次官は7/29から韓国、7/31から日本を訪問)。どうやら米中朝に日韓ロを加えた6カ国協議を行うという方向(→ブッシュ大統領が7/30の記者会見で言及)で調整が進められているようだが、現時点(8/1)では北朝鮮側からの明確な回答は得られておらず、具体的な日程など詳細はまだ定かではない。
ちなみに3/2に米軍の電子偵察機が北朝鮮のミグ29戦闘機などから異常接近された際の映像の一部が公開(7/1)されるとか、米軍の偵察機が北朝鮮上空の大気から核燃料棒を再処理してプルトニウムを抽出する際に放出される不活性ガスのクリプトン(Kr)85を検出したらしいことが明らかに(7/12)なるとか、北朝鮮が寧辺(ヨンビョン)とは別の場所にプルトニウムを抽出する核燃料再処理施設を建設した可能性を示す情報を米情報当局がつかんだなどという報道(7/20)とか、米国発の情報が非常に目立った。
残念ながら相変わらず北朝鮮による核兵器開発問題、そして日本人らの拉致問題をはじめとする様々な北朝鮮の人道上の問題などでは目立った進展は見られない。本来ならば言うまでもないことだが、北朝鮮による核兵器開発問題と同じかそれ以上に日本人らの拉致問題をはじめとする様々な北朝鮮の人道上の問題も重要であるということをあえてここで強調しておくことにする。なお事実だとすれば喜ばしい未確認情報があるが現時点(8/1)では詳細などがハッキリしないのであえて触れないでおくことにする。
結論として何度も繰り返しているが(→参考:2003/6/29号etc.)、北朝鮮は核兵器などの開発・保有・拡散を検証可能かつ不可逆的な方法で即時・完全に放棄しない限り破滅してしまうと私は考えている。従って核兵器開発などの放棄と体制保証を米国と交換することはできないということに北朝鮮は一刻も早く気付くべきだし、そのことはいくら瀬戸際戦術を続けて危機をエスカレートさせても全く変わらない。また北朝鮮は核兵器を保有しても結局は体制保証を得ることはできないということにも一刻も早く気付くべきである。もしも核兵器を保有した場合には米国と軍事的な均衡を維持し続けなければ生き残っていくことはできないわけだが、そういうことはあの旧ソ連でさえも結局はできなかったことなのだから北朝鮮には絶対に不可能なことである。
そもそも北朝鮮にとって核兵器を保有したり保有している可能性が高いと見なされること自体が有害無益なことであるということにも一刻も早く気付くべきである。米国は米国にとっての脅威、そして近い将来に脅威になりそうなことには決して寛容ではないはずである。自国の脅威に寛容でないのはどこの国でも同じことなのかもしれないが、特にブッシュ現政権の場合は寛容さのかけらもなくあらゆる手段を駆使して「悪い芽」を早めに完全に摘み取ろうとする傾向が非常に高い。そう遠くない将来に北朝鮮が確実にミサイル技術を含めた核戦力を強化して米国にとってより大きな脅威になることがハッキリしているのならば、被害が朝鮮半島とその周辺に限定されて米本土には及ばないうちに圧倒的な先制攻撃によって北朝鮮を地球上から抹殺するという米国にとっては犠牲が少なく確実な形で問題を解決する危険な誘惑に米国が負けてしまう可能性もゼロとは言い切れない。米国民は非常に賢明だが、何かのきっかけに極端な意見が多数意見になる可能性を完全にゼロにすることは非常に難しいことなのかもしれない。そして冷静に客観的に見れば、北朝鮮が核兵器を保有している疑惑があるとか、保有していても少数だし米本土への運搬手段を保有しているかどうかも定かではないという段階ならば、後先のことをあまり考えなければ、米国は米国自身の決断と行動だけでほとんどリスクなしに自国にとっての脅威を完全に取り除くことができるのである。北朝鮮の核兵器開発問題の現状を冷静に客観的に考えれば考えるほど本当に怖くなってくる。
北朝鮮は核兵器開発などの放棄と体制保証を米国と交換することはできないが、核兵器などの開発・保有・拡散を検証可能かつ不可逆的な方法で即時・完全に放棄し、同時に「ならず者国家」や「マフィア」と見なされかねないような麻薬密輸や紙幣偽造などの各種の非合法活動と完全に決別すれば、米国による先制攻撃の可能性をゼロにすることは不可能ではない。北朝鮮は一刻も早く目を覚まして国際社会の責任のある一員になろうとするべきである。現時点では米国を含めた国際社会全体は北朝鮮が国際社会の責任のある一員になることを心から待ち望んでいるのである。間違っても北朝鮮は瀬戸際戦術をエスカレートさせて国際社会のどの国からも北朝鮮には話し合いは通用せず、「強者」が「弱者」を支配する「弱肉強食の論理」しか通用しないなどと見なされてはならない。もしもそういうことになってしまえば国際社会全体にとっての大きな悲劇が生じかねない。本質をしっかりと見極めて「次の次」をも見据えた「次」の行動が必要なのは北朝鮮問題でも同じことである。
この約1カ月間のイラク問題に関連する主な動きなどについても触れておくことにする。
イラク人各勢力による統治評議会(→米軍主導の暫定当局(CPA)が一定の権限を認めている)の初会合がバグダッドで開かれた(7/13)。そして米軍はイラク北部での銃撃戦でフセイン元大統領の長男・ウダイ氏と次男・クサイ氏が死亡したと発表(7/23)、遺体の写真を公表(7/24)した。だが相変わらずフセイン元大統領は行方不明のままだし、大量破壊兵器も発見されず、治安の回復も十分ではない。ブッシュ大統領による戦闘終結宣言(5/2)以降も武装勢力(?)による米軍に対する襲撃は収まらず、米兵の死傷者は増え続けている。
いまだに発見されていないイラクの大量破壊兵器をめぐる問題は世界各国、特に英国で非常に大きな波紋を広げている。イラク戦争前に英政府が出したイラクの大量破壊兵器に関する報告書などについて英議会下院外交委が十分な根拠なしに脅威を強調していたが歪曲や情報操作を行っていたとまでは言えないなどという内容の調査結果を公表(7/7)したり、BBCが報道したイラクの大量破壊兵器問題をめぐる英政府の情報操作疑惑に絡んで政府から情報源として名指しされた英科学者のデビッド・ケリー氏が自殺(7/18)、BBCが主な取材源はケリー氏だったと認める(7/20)など波紋が広がり、独立司法調査委が調査に乗り出す(→本格調査は8/1から)などブレア英政権は窮地に陥っている。
なおパレスチナ情勢はイスラエルとパレスチナの間の暴力の応酬に一定の歯止めがかかっているが、イスラエルがヨルダン川西岸地区を取り囲む防護壁の建設を進めていることにパレスチナ側が猛反発しており、新たな火種になる可能性が高い。
ちなみに日本政府は国際平和維持活動(PKO)協力法に基づいてイタリア-ヨルダン間などでイラク支援物資を輸送する航空自衛隊のC130輸送機2機の派遣を決定(7/4)、輸送機はヨルダンに到着(7/14)している。
イラク支援法成立を受けた日本のイラク復興支援の具体的な活動内容や派遣地域などは現時点(8/1)では固まっていない。どうも想定されるイラクでの自衛隊の活動は「非戦闘地域」における水の浄化・補給、物資の輸送などということになるらしいが、率直に言わせてもらってそういう類のことでは日本が「旗」を見せながら「ブーツ」でイラクの地面を踏みしめる「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」を実現する以外にいったい何をしに行くのかが非常に分かりにくくなってしまう。同じ派遣するのならば誰の目にも明らかな形でイラクの人たちのためになることを実行できる十分な能力を持つという意味でも自己完結能力が高いチームを派遣すべきである。例えば、派遣される「非戦闘地域」における電気・水道・電話などの「ライフライン」を再生・維持し、同時にその地域の医療需要にも応えることができる十分な能力・人材・物資を併せ持った自衛隊と民間人による混成チームを派遣することができれば、派遣された日本隊の活動の妨害はイラクの市民生活の妨害・破壊を意味し、日本隊に対する攻撃はイラク市民の敵になることを意味するから、危険性はゼロにはならなくてもかなり減少するはずだと私は考えている。ちなみに電力の供給手段として世界有数の産油国のイラクであえて最先端技術を駆使した太陽光発電などの自然エネルギーを利用した発電設備を採用すれば地球温暖化対策にも貢献できる日本独自の支援活動にすることもできるだろう。
イラク戦争開始時点に間違いなくイラクに大量破壊兵器が存在したのかどうかとか、自衛隊が派遣される時点でイラクのどこが「非戦闘地域」なのかなどということの重要性を否定するつもりはないが、実はそういうことはイラク問題の本質ではないと私は考えている。どういうわけか永田町周辺では大きな勘違いが広がっているようだが、大量破壊兵器が存在したとしてもイラク攻撃が正しい選択だったとは限らないし、意外かもしれないが、逆に大量破壊兵器が存在しなかったとしてもイラク攻撃が正しい選択だった可能性も完全にはゼロではないのである。そして大量破壊兵器が存在しても存在しなくても、イラク戦争が正しかったとしても正しくなかったとしても、イラク戦争が間違いなく起こってしまったという「現実」をしっかりと受け止めて日本としても国際社会としてもやるべきことをやらなくてはならないはずだと私は考えている。イラクのどこが「非戦闘地域」なのかということは確かに重要なことだが、どういうことが本当にイラクの人たちのためになり、そのことを実現するために日本ができることは何かということを考えることも非常に重要である。念のために言っておくが、私はあのような経緯での米英軍によるイラク戦争開始には相変わらず疑問を持ち続けているが、「現実」をしっかりと見つめて本質を見極めて私なりにやるべきことをやってきたつもりである(→参考:2003/3/10号、2003/3/22号、2003/4/30号etc.)。イラク問題でも多くの与野党の政治家たちや既存のマスコミを含めた永田町周辺の人間たちは本質を見失って目先のことだけにとらわれているという点で間違いなく能力のなさを示していると私は見なしている。
再び日本の政治に話を戻す。くどいようだが、真の意味での政策の一致と「選挙後のこと」を後回しにした今のような民主党と自由党の合併や野党共闘にはやる前から失敗・破滅などという否定的な結果が既に見えている。そして真の意味での政策の一致と「選挙後のこと」を後回しにして結果的に国民を欺こうとしている菅直人民主党代表や彼を首相候補として支持している政治家たちを選挙を通じて永田町周辺から追放しない限り政権交代を実現することができないと私は考えている。もしかすると彼らを永田町周辺から追放しなければ日本の政治における危険な「爆発」を食い止めることもできないのかもしれない。
主人公が最初に持っていた「一本のわら」を次から次へと「より良い物」に交換していって最終的に長者になったり幸せになったりするという「わらしべ長者」という昔話があるが、どうやら永田町には「小さな政党」から出発して次から次へと政党を作っては壊して「より大きな政党」と交換していけばやがて政権交代が実現できるなどという勘違いした「政界・わらしべ長者」気取りの政治家たちが何人かいるようである。勘違いした「政界・わらしべ長者」気取りの政治家たちにしてみれば今までずっと政党を交換し続けてきたのだからここまできたら後先のことは考えずに交換し続けるしかないのかもしれないが、真の意味での政策の一致と「選挙後のこと」を後回しにして後先のことを考えずに「賭け」とか「大勝負」に出られたら若い政治家たちを含めた「将来の世代」にとってはたまったものではない。
自民党を野党に転落させて政権交代を実現した細川連立政権の発足と挫折から約10年になるが、今が政権交代のチャンスだと仮定しても、もしも「次」に失敗したら受けた打撃が回復して「次の次」のチャンスがやってくるまで今度は15年ぐらい待たなくてはいけなくなるかもしれない。約15年という年月は生まれたばかりかもうすぐ生まれる人たちが中高生になるぐらいの長い年月である。ひとたび成人になってしまえば時の流れは早く感じるが、10年とか15年という年月の重みを改めて考えてみる必要がある。真の意味での政策の一致と「選挙後のこと」を後回しにする政治家たちを含めた将来に対して無責任な政治家たちや無能な政治家たちなどを永田町周辺から追放するための言論による闘争を継続する。
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